都道府県別に医療施設データをみると東日本と西日本のある違いがわかりました

都道府県における医療の格差は広がりつつあります。実際に地域別で医療がどのような推移をしているのかみていきましょう。皆さんの都道府県はどのような数値になっているのかも併せて確認してください。

 

  • 都道府県別にみる医療施設の推移

厚生労働省による平成30年現在の厚生統計をみると医療法人の数の推移がわかります。平成2年には14000件ほどでしたが、平成30年には53000件近くまで医療法人が増えています。そんな医療法人ですが、都道府県別にみるとどうなっているのでしょうか。実際に表をご覧ください。

<都道府県別医療法人数>

都道府県 医療法人
総  数
全   国  53 944
北 海 道  2 610
青   森   347
岩   手   367
宮   城   840
秋   田   337
山   形   463
福   島   853
茨   城   952
栃   木   792
群   馬   847
埼   玉  2 610
千   葉  2 059
東   京  6 091
神 奈 川  3 390
新   潟   925
富   山   304
石   川   472
福   井   319
山   梨   248
長   野   767
岐   阜   724
静   岡  1 400
愛   知  2 174
三   重   665
滋   賀   477
京   都  1 018
大   阪  4 232
兵   庫  2 231
奈   良   498
和 歌 山   414
鳥   取   328
島   根   334
岡   山   978
広   島  1 501
山   口   767
徳   島   579
香   川   570
愛   媛   917
高   知   398
福   岡  2 905
佐   賀   440
長   崎   852
熊   本  1 055
大   分   692
宮   崎   596
鹿 児 島  1 090
沖   縄   516
資料:医政局医療経営支援課調べ

(平成30年厚生統計参照)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/data30k/225.xls

これをみると首都圏や大都市のある北海道・大阪府・福岡県・愛知県などに多くの医療法人が点在していることがわかります。これを人口10万対施設数の都道府県別でみてみましょう。

<都道府県別・人口10万対医療施設数>

都道府県別 病     院
平成28年
(2016)
実数 人口10万対
全   国  8 412 6.6  8 442
北 海 道   561 10.5   562
青   森   94 7.4   96
岩   手   93 7.4   93
宮   城   140 6.0   139
秋   田   69 6.9   69
山   形   69 6.3   68
福   島   128 6.8   128
茨   城   176 6.1   178
栃   木   107 5.5   107
群   馬   130 6.6   129
埼   玉   343 4.7   342
千   葉   288 4.6   286
東   京   647 4.7   651
神 奈 川   338 3.7   341
新   潟   129 5.7   131
富   山   106 10.0   106
石   川   94 8.2   95
福   井   68 8.7   68
山   梨   60 7.3   60
長   野   129 6.2   130
岐   阜   101 5.0   102
静   岡   180 4.9   181
愛   知   324 4.3   323
三   重   98 5.4   100
滋   賀   57 4.0   57
京   都   169 6.5   170
大   阪   521 5.9   523
兵   庫   350 6.4   350
奈   良   79 5.9   77
和 歌 山   83 8.8   83
鳥   取   44 7.8   44
島   根   51 7.4   51
岡   山   163 8.5   164
広   島   242 8.6   244
山   口   145 10.5   147
徳   島   109 14.7   112
香   川   89 9.2   90
愛   媛   141 10.3   141
高   知   129 18.1   130
福   岡   462 9.0   461
佐   賀   106 12.9   107
長   崎   150 11.1   151
熊   本   213 12.1   212
大   分   157 13.6   157
宮   崎   140 12.9   140
鹿 児 島   246 15.1   252
沖   縄   94 6.5   94
資料:政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当)「医療施設調査」

(2017年厚生労働省・医療施設調査参照)

医療法人数とリンクする部分がありますよね?人口10万対病院数も大都市や首都圏に集中している傾向があります。全国の人口10万対平均施設数は6.6で、それを基準で考えると田舎の地域では5ポイント台となり、大都市や首都圏では9ポイント台以上あるところもあります。先ほどの縦長の表の上半分と下半分をみてください。

北海道から東北エリア・関東エリアとエリアごとに都道府県が紹介され、九州エリアとなっていますが、西日本と東日本でみると大きな違いがあります。人口10万対施設数の割合が東日本では1桁台が多いのにもかかわらず、西日本では2桁台が多いのです。人口10万に対して施設数が多いということは、患者さんの取り合いをしているといっても過言ではありません。東日本と西日本で面白いデータも見つかるものですね。

  • 都道府県別にみる医療の変化〜看取り編〜

終末期医療という言葉は一昔前まで「がん患者」の方だけの言葉でした。末期がんでがん性疼痛が強い場合や治療をしても回復が望めないような方のために痛みを緩和させる処置をメインに行います。終末期医療は「看取り」と関係することが多いです。看取りは患者さんの最期を看取ることをいいますが、近年では自宅や入居している施設で看取るケースも増えてきています。まずは、看取りがどれくらいの推移をするのかみていきましょう。

2015年現在で年間死亡者数は約125万人です。その後も、年間死亡者数は増加の一途を辿り2040年には170万人になると予測されています。死亡者の多くは病院で亡くなっています。日本は亡くなった方の約80%が病院というデータですが、諸外国のデータをみてみると少し日本と異なります。スウェーデンでは42%が病院で31%が高齢者向け施設・20%が自宅で亡くなっているのです。オランダでは35%が病院、32%が高齢者向け施設、31%が自宅で亡くなっています。そしてフランスでは58%が病院、10%が高齢者向け施設・25%が自宅で亡くなっています。オランダはこの中でも1:1:1に近く、患者さんが亡くなる場所を選べる社会になっていると予想できますね。

実際に、日本国内で死亡する場所の年次別死亡率をみてみると、1951年には自宅で亡くなることが多かったですが、段々と病院で亡くなる方が多くなります。1980年ごろにはその割合が1:1になり、2015年現在で病院が約80%という結果になっているのです。

▲看取りの地域差

看取りという言葉を「自宅での看取り」と定義づけて話を進めていきます。自宅で死亡する方の割合が最も多い地域は東京都です。その次に兵庫県・奈良県・千葉県と続きます。その一方、自宅で死亡する方の割合が最も少ない地域は大分県です。ついで北海道・佐賀県と続きます。

▲訪問診療の地域差

看取りと一緒に考えられるのが訪問診療です。訪問診療とは、患者さんの自宅や入居している施設へ出向き医師が診察を行うことをいいます。訪問診療は在宅療養支援診療所と訪問看護施設の2施設の協力が必要です。