冬に多発するヒートショックとは?予防法も解説

急な血圧の変動により、心筋梗塞や脳梗塞などを発症する原因となる「ヒートショック」。

冬場に多発する怖いショック状態ですが、予防法があります。

 

今回は、ヒートショックの概要と予防法について解説します。

高齢者はもちろんのこと、高血圧や糖尿病、心疾患などの既往がある人もぜひ最後まで読んで参考にしてください。

ヒートショックとは

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はじめに、ヒートショックについて解説します。

特徴

ヒートショックは、急激な温度差による血圧の大きな変動により起こるショック状態のことです。

 

血圧は、血管の収縮・拡張の程度によって決まります。基本的に寒い場所では血管の収縮により血圧が上昇し、暖かい場所では血管の拡張によって血圧は低下します。

 

冬場に暖房やストーブのついた暖かい部屋から廊下や風呂場などの寒い場所へ移動すると、身体は温度の変化から身を守ろうとし、筋肉を収縮させて熱を作ります。また、血流量を減らすことで体内の熱を外に逃がさないようにします。その結果、血管が収縮し、血圧が急激に上昇してしまうのです。

 

その後入浴したとすると、今度は急激に血管が拡張するため、高くなった血圧が一気に低くなってしまいます。

 

若い人の場合は気温の変化や血圧の変動に耐えることができます。しかし、高血圧などの持病がある人や高齢者の場合、血圧の乱高下により、心筋梗塞や脳梗塞、大動脈解離、不整脈、意識喪失、溺死などの重大な状態や疾患を引き起こすリスクが高まってしまいます。

症状

ヒートショックの症状は、以下のとおりです。

 

  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 呼吸困難
  • 胸痛
  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 意識消失
  • 立ち上がれない

 

軽度の場合はめまいや立ちくらみ程度の症状で済み、安静にしていることで症状が改善します。しかし、呼吸困難や胸痛、意識消失などの症状を認めた場合にはただちに救急車を呼び、動かず安静に待機しましょう。嘔吐を認める場合は身体を横向きにし、誤嚥を防ぎましょう。

どのくらいの人がかかるの?

現在、日本では年間およそ17,000人もの人がヒートショックで亡くなっていると報告されています。交通事故による年間死亡者数が約4,000人であるのに対し、それよりもはるかに多くの人がヒートショックで命を落としているのです。

 

また、ヒートショックで亡くなる人のうちの約9割が高齢者であることもわかっています。

ヒートショックのリスクが高い人の特徴

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つづいて、ヒートショックのリスクが高い人の特徴について解説します。以下に該当する場合はとくに注意が必要です。

 

  • 65歳以上
  • 狭心症、心筋梗塞、脳出血、脳梗塞の既往がある
  • 不整脈、高血圧、糖尿病の既往がある
  • 飲酒習慣がある
  • 食後すぐに入浴する習慣がある
  • 服薬後に入浴する
  • 42℃以上のお湯に長く浸かる習慣がある
  • 浴室、脱衣所、トイレに暖房設備がない
  • リビングと浴室、トイレが離れた位置にある

ヒートショックの予防法

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ヒートショックは、日常生活を少し工夫するだけで予防できる可能性があります。

脱衣所・浴室・トイレは暖めておく

リビングと、脱衣所や浴室、トイレの温度差を少なくしておくことでヒートショックを防げる可能性があります。入浴前には、ヒーターなどを使用し脱衣所と浴室を暖めておきましょう。1番風呂ではなく、浴室がある程度暖まっている状態の2番風呂にするのもおすすめです。

 

トイレにも、ヒーターや電気温風器などの暖房器具を設置しましょう。

湯温は41℃以下にし、長湯は避け、肩まで浸からない

熱すぎるお湯や長湯は身体に負担がかかるため、湯温は41℃以下とし、10分以内の入浴を心がけましょう。

また、肩までしっかりお湯に浸かるのもおすすめできません。

浴槽に入る時・出る時はゆっくりと

浴槽に入る時や出る時は、壁などにつかまりながらゆっくりと動きましょう。入る前にはかけ湯で身体を慣らすことをおすすめします。可能であれば、浴槽内に手すりをつけると安全です。

食後・飲酒後・服薬後の入浴は避ける

食後や飲酒後、服薬後は、とくに血圧が変動しやすい状態になっています。そのため、食後は最低でも1時間空けて入浴しましょう。また、飲酒後の入浴は転倒などの危険性も高まるため、飲酒前に入浴を済ませるか、入浴後に飲酒するようにしましょう。医薬品のなかには、血圧を下げたり眠気をさそったりするものもあるため、服薬後の入浴も避けた方が無難です。

入浴前後は水分補給を忘れずに

入浴中は発汗により水分が一気に失われるため、脱水状態に陥り血圧に影響が出ます。入浴前後には十分な水分摂取を心がけましょう。

入浴前は家族に一声かけ、家族にも気をつけてもらう

同居家族がいる場合は、「今から入浴する」と家族に一言伝えてから入浴しましょう。長く風呂から出てこない場合に、家族に様子を見に来てもらえれば、体調の変化に素早く気付き、対処ができる可能性があります。

外出時は防寒対策をしっかりと

ヒートショックは、浴室やトイレだけでなく、暖かい部屋から外へ出た際にも起こりえます。外出時には、衣類やマフラー、手袋などを活用し、最大限の防寒対策をほどこしましょう。

排便時は無理にいきまない

高齢者は便秘になりやすく、排便時に強くいきんでいる人もいるかもしれません。しかし、強いいきみは血圧を上昇させてしまうため、ヒートショックのリスクが上がります。こまめに水分摂取を行う、必要な際には医師に相談するなどして便秘対策を心がけ、強くいきむのは避けましょう。



今回は、冬場に多いヒートショックについて解説しました。

ヒートショックは命に関わる危険な状態ですが、日常生活を少し工夫するだけで予防できる可能性が高まります。

高齢者や持病のある人はヒートショックについて知り、予防を心がけましょう。