介護保険と障害福祉サービスの違いは?

日常的に利用できるサービスとして、障害福祉サービスがあります。介護保険と同じように介護支援を受けられるイメージがありますが、一体どのような方が利用できるのでしょうか。
今回は障害福祉サービスについて紹介します。介護保険との違いや、利用できるサービスについて解説します。

障害福祉サービスとは?

車椅子の方と面談

障害福祉サービスとは障害のある方の支援などについて定めた法律で「障害者総合支援法」に基づいたサービスのことを言います。
障害福祉サービスは大きく「介護サービス」「訓練等サービス」の二つに分かれています。

・介護給付:訪問系、日中活動系、施設系に分かれており、日常生活の介護が中心。
・訓練等給付:日常生活の自立や就労が中心。

【介護給付】

サービスの種類内容対象者
居宅介護自宅で入浴・排泄・食事等の介護や調理・掃除等の家事、生活などの相談や助言、その他支援を行う。障害支援区分1以上
(障害支援区分や生活状況を含めて、利用できる時間が決まる。)
重度訪問介護重度の肢体不自由者や重度の知的障害・精神障害があり常時介護が必要な方に、自宅で入浴・排泄・食事等の介護や調理・掃除等の家事、生活等などの相談や助言、その他支援を行う。障害支援区分4以上で、特定の条件に該当する方
同行援護視覚障害により、移動するのが困難な方に対して、ガイドヘルパーが付き添って外出時の同行支援を行う。視覚障害により外出時に困難がある方
(障害支援区分によって、身体介護が利用できる場合もあり)
行動援護知的障害や精神障害により、移動するのが困難な方に対して、ガイドヘルパーが付き添って外出時の支援を行う。外出時の危険回避、外出の前後の着替えや移動中の介護、排泄・食事の介護などを行う。障害支援区分3以上で、障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目等の点数が、合計10点以上の方
重度障害者等包括支援重度の肢体不自由者や重度の知的障害者・精神障害で常時介護が必要な方に、居宅介護など総合的に支援する。障害支援区分4以上で、特定の条件に該当する方
生活介護常時介護を必要な方に、介護の他に創作的活動や生産活動の機会を提供する。障害支援区分3以上(施設入所者は区分4以上)
50歳以上の方は区分2以上(施設入所者は区分3以上)の方
短期入所介護者が介護ができない状態になった場合、短期間(原則は月7日以内)介護を行う。障害支援区分1以上の方
療養介護医療行為と介護が必要な方に、病院で機能訓練や介護などを行う。① 障害支援区分6の ALS患者等気管切開を伴う呼吸管理を行っている方
② 障害支援区分5以上の筋ジストロフィー患者又は重症心身障害者
施設入所支援施設に入所している方に、介護を行う。障害支援区分4以上(50歳以上の方は区分3以上)で生活介護を受けている方等

【訓練等給付】

サービスの種類内容
自立訓練自立した生活や社会生活が送れるよう、一定期間身体機能と生活能力の向上を目指して訓練(機能訓練・生活訓練)を行う。
就労移行支援一般企業等への就労を希望する方に、一定期間就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練等を行う。
就労継続支援一般企業などで働くことが難しい方、働く場所を提供し知識・能力の向上を目指して訓練を行う。(雇用契約を結ぶA型・雇用契約を結ばないB型がある)
共同生活援助共同生活を行う住居で、日常生活の援助や相談、また介護が必要な方に対しては、介護サービスを提供。

利用できる対象者

車椅子の女性

障害福祉サービスが利用できるのは、以下に該当する方です。

・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を交付されている人
・難病などがある方
・精神障害を事由とする年金または特別障害給付金を受けている人
・自立支援医療受給者証を持っている人

基本的には18歳以上の方が対象ですが、18歳未満の方は障害児としてサービスを利用できる場合があります。自分が対象になるかわからない場合は、まずはお住まいの役所へ確認してみることをおすすめします。

サービス利用の流れ

リハビリ

障害福祉サービスを利用したい場合、まずは「障害支援区分」の認定を受ける必要があります。障害支援区分の認定が下りると、その方の状況に応じた利用限度が設定されます。

①お住まいの役所や相談支援事業所よりサービス利用申請を行う
・利用したいサービスについて相談し、申請を行う。

②障害支援区分の認定を受ける
・お住まいの役所の方から認定調査を受ける必要がある

③サービス利用の支給決定
・認定調査や主治医意見書の結果を元に、支援区分が決定される

④サービス等利用計画の決定
・サービスを利用したい場合、相談支援事業所などで、利用したいサービスの計画書を作成してもらう必要がある

⑤サービス利用の開始

お住まいの役所で障害支援区分の認定を受け、サービスを利用したい場合は相談支援事業所へ相談するという流れを覚えておくようにしましょう。

介護保険・障害福祉サービスの違い

疑問

介護保険と障害福祉サービスは似たようなサービスがあります。それぞれ比較してみました。


◆年齢
・介護保険:65歳以上の要支援・要介護状態の方、または特定疾病がある40歳から64歳の方
・障害福祉:原則18歳以上の方

◆利用者負担
・介護保険:1割負担だが、収入状況によっては2割負担の方もいる
・障害福祉:1割負担。収入状況によって負担上限が設定されている

◆区分
・介護保険:要支援1・2、要介護1〜5の7段階
・障害福祉:障害支援区分1〜6の6段階

◆サービスの支給限度
・介護保険:介護度ごとに限度額が設定されている
・障害福祉:利用者・家族の意向を踏まえ支給決定に基づいて市がサービスの種類・支給量を決定します。

介護保険が利用できない場合、障害福祉サービスを利用できます。ただし障害支援区分が認定されていることが前提です。介護保険・障害福祉サービスのどちらも利用できる場合は、介護保険が優先となります。

介護保険には「福祉用具貸与」がありますが、障害福祉サービスには福祉用具貸与がありません。その代わり「補装具費用の支給」があります。補装具には車椅子や歩行器など、さまざまな物があります。もしも車椅子が必要になった場合、計測を行い、自分の形に合った車椅子を購入するという流れになります。

また「訪問看護」も違いがあります。介護保険に訪問看護がありますが、障害福祉サービスにはありません。そのため訪問看護を利用したい場合は、医療保険で利用する必要があります。

併用は条件次第で可能

先程お伝えした通り、介護保険と障害福祉サービスでは支給限度が異なります。状態によっては、どちらかのサービスだけだと足りないという可能性があります。基本的には介護保険が優先となりますが、介護保険だけでは難しい場合は、役所で認められれば障害福祉サービスが併用できる場合があります。

生活保護の方はどうなる?

生活保護の方でもサービスは利用できますが、介護保険・障害福祉サービスどちらも利用できる場合は、障害福祉サービスが優先となります。
生活保護には「他法優先」というルールがあり、介護保険を利用すると全額介護扶助で負担しなければならないため、自立支援給付等が優先になるのです。

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