在宅医療するには家族の仕事もやめなきゃダメ?上手な勤務の仕方もあります

在宅医療で問題となるのが家族の負担です。平成23年11月に厚生労働省が公表した資料では、在宅医療に関して様々な観点から観察していました。今回はそんな厚生労働省の資料を参考にしつつ、在宅医療がどのような環境となっているのか紹介していきます。

●在宅医療におけるニーズ

在宅医療を受けたい・検討したいと考えている人の数は年々増加傾向となっています。厚生労働省の調査でも終末期医療において自宅で最期を迎えたいと回答する人の数が増加していることがわかります。調査全体のおよそ60%の人が自宅で最期を迎えたいと回答しており、自宅で介護を望む人の数もそれに伴い増加しているのです。中には子供の自宅や親族の家を希望する人もいますが、まだまだ介護施設や病院で療養するのを希望する人がいるのも事実です。自宅で介護や最期を迎えたい人は何を望んでいるのでしょうか。

▲安心した生活

住み慣れた自宅で最期を迎えるのは人生を振り返る良いきっかけになります。病院で長いこと療養していても最期のタイミングは自宅でという方もいるようです。しかし、自宅は介護や療養する場所として適さないことがあります。元気なうちから自分が病気になった時のことを考える人はいないからです。在宅医療は精神的な安心感はありますが、いざというときにどのような対応をするか専門職とよく話し合っておく必要があります。

▲家族との時間

新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴い、介護や療養する人の中には自宅で過ごしたいと思う人が増えました。感染症流行で施設や病院では面会謝絶となっているからです。家族と会える時間が少なくなってしまうことを懸念して、施設や病院での療養・介護ではなく自宅に帰り家族との時間を大切にする傾向が強くなっているのが近年の特徴です。

▲医療を選べる時代になった

現代は、患者が医療を選べる時代となりました。これも一つ大きな転機といえるでしょう。昔であれば医師が治療法を選択して、患者はそれを受け入れるほかありませんでした。しかし、今はインターネットの普及により多くの情報を簡単にえられます。病気のことを調べるのも簡単です。治療法も選択できるようになり、例えばがん治療でも抗がん剤の積極投与ではなく、生活の質を重視した緩和治療が選択されることがあります。このような時代に変更したことも在宅医療を選択する人が増えた一因ではないでしょうか。

●在宅医療へ不安を抱える人も

在宅医療へ明るい考えが増えている一方、在宅医療へ積極的になれない人がいるのも事実です。介護や医療を受ける人の中では家族や子供たちへ迷惑をかけたくないと思っている人が多いです。そこで次は在宅医療が抱える問題点を紹介していこうと思います。

▲家族の時間が確保できない

在宅医療で問題となるのは誰が介護するかです。訪問介護や訪問看護など各種医療・介護サービスもありますが、24時間介護・医療を提供するためには家族のサポートも大切となるのです。しかし、家族にも家族の時間があります。特に仕事をしている働き世代では、家族の介護で時間を作れないという人も少なくありません。

▲家が介護に適さない作り

自宅は生活をする場であり、介護をする場所ではありません。いざ家族に介護が必要となった時でも対応できるようバリアフリー化している家もありますが、多くの人はそうではないでしょう。また介護が必要になった時、バリアフリー化しようとしても手元に資金がないといった過程も珍しくはありません。そのようなことから、在宅での介護が適さない家というのが多く存在するのです

▲施設や医療機関人気の高さ

在宅医療が一般的になりつつありますが、やはり病院や介護施設の方が環境が整っていると言えます。スタッフ数や医療設備など在宅医療では用意できないものがあります。そのため、病院や介護施設の方が患者やその家族も安心できることが多いのではないでしょうか。

現在では施設数も増えていますが、所得が少ない家庭では入居できない有料高齢者住宅などが多く、特別養護老人ホームなどへは入居が難しい状況が続いています。介護しなければいけない家族からすれば、施設や病院で面倒見てもらった方が楽になります。

また、介護施設や病院のスタッフは専門知識が豊富です。一般人がイチから情報を集めるよりも、専門知識のある人の力を借りる方が何倍も楽なのは言うまでもないでしょう。

▲病状や体調の程度

在宅医療では対応できる病状に限界があります。急性期で回復の見込みがあるのであれば、病院で治療を受ける方が良いでしょう。介護度が軽いのであれば施設でリハビリを続けた方が日常生活への回復へ繋がるかもしれません。このようにそれぞれの体調や病状に応じた対応も必要となるため、全ての人が在宅医療を推奨されるという訳でもないのです。

●在宅医療における家族と仕事

では、ここからは在宅医療における家族が仕事とどのように関わりを持っていくべきなのか紹介していきます。患者本人はもちろんですが、家族にも大きな負担となってしまうため在宅医療を始める前に想定しておきましょう。

▲家族の仕事

結論からいえば家族は在宅医療を始めるにあたり、現在の仕事を辞める必要はありません。もちろん心情的に仕事をやめて、家族と過ごしたいと思うかもしれませんのでその場合はその限りではありません。仕事を辞めると生活がままならなくなる場合などは、仕事を続けて大丈夫という意味です。

というのも、現在では在宅医療を進めるにあたり訪問看護や訪問介護の事業所が多く点在しています。それらのサービスを活用すると家族の負担は最小限にできるのです。

しかし、サービスを活用すればするほどかかるのは費用です。そこを懸念される家族の方もいます。日頃から民間の医療保険に加入している場合は病気に応じて見舞金など保証を受けられますが、未加入の人でも高額療養費制度があるためこれを活用しましょう。公的医療保険の高額医療費制度は、所得に応じて医療費の上限が決まっている制度です。事前に限度額適用認定証を用意しておけば、限度額以上の医療費を支払う必要がありません。他にも1年間の収入を申告する確定申告時に年間10万円以上の医療費を計上できれば医療費控除として、還付金を受けることができます。

▲仕事における権利を活用

正社員であれば1年間に一定日数の有給休暇が与えられます。家族の通院など私用で使えるため、年次有給制度も活用すれば仕事を続けながらも通院などのサポートができます。また、一部企業には介護休暇や介護休業などの制度も導入されているようです。介護休暇は年間5日、介護休業は通算90日前後休みがもらえ、これらを活用することで、在宅医療をサポートできるのではないでしょうか。休んでいる間に関しては介護休業給付金として、日給のおよそ67%が支給されることが多いです。

●仕事と介護の両立は無理に目指さなくて良い

仕事をしながら家族の介護をするというのは簡単なことではありません。介護する人が仕事と介護の両立に悩み、倒れてしまうことも珍しくないのです。そこで重要なのは介護や医療で任せられることは専門職に任せるということです。介護する人が倒れてしまったら元も子もありません。夜中起きてまで家族の介護をする必要はなく、仕事があるのであれば夜のヘルパーさんへ任せる、ショートステイを上手に活用するなど工夫を凝らして対応しましょう。在宅医療で大切なことは、自分の仕事や趣味など時間を確保しつつ、家族の面倒を見ることです。

近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
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