肝臓がんの患者数は年間38000人!初期症状を把握して早めの検査を実施!

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれています。沈黙と比喩されるほど、症状が出にくく異常が起きても発見されにくいです。そこで重要なのが定期的な検診です。自分だけは大丈夫!私は病気にならないと決めつけるのではなく、定期的な検診や検査を受けるようにして大切な体を守りましょう。今回は肝臓がんについてのお話です。

  • 肝臓がんの患者数と概要

腹部の右上に位置する肝臓は、成人で800g〜1200gと臓器の中では大きい部類に属します。主に食べ物から吸収した栄養分を分解する働きや、体内で生成された有害物質を解毒する働きがあります。また、脂肪を消化する胆汁の産生場所としても有名です。

肝臓がんとは、肝臓の細胞ががん化したものです。肝臓から胆嚢へ通る「胆管」にできたがんは肝内胆管がんと呼ばれ、肝臓がんとは区別されているので注意しましょう。

肝臓がんと診断された症例数は38,312例です。内訳をみると男性が26,163例・女性が12,148例となっています(2018年がん統計参照)。また、肝臓がんで死亡した人の数は25,264人でした。内訳をみると男性が16,750人・女性が8,514人となっています。他にも肝臓がんと診断されてから5年後に生存している患者はおよそ35.8%という結果が出ています。これは「5年生存率」という言葉で表されることが多いですね。肝臓がんは他のがんと比べると比較的罹患しにくいがんといえます。がんの中で最も罹患者数が多いのが肺がんです。その次に大腸がん、胃がん、膵臓がん、そして肝臓がんとなります。男女では罹患しやすいがんが異なります。しかし、男女ともに年齢を増すとともにがんの発症率も上がっていくというデータがあります。男性は60歳代から増加傾向で、女性は70歳代から増加傾向です。肝臓がんには地域性があります。西高東低の傾向が強く、関西圏や九州地方で患者数が多いです。東日本では青森県や北海道で患者数が多い傾向がありました。

▲肝臓がんの原因

肝臓がんの原因として有力なのはウイルスと生活習慣です。ウイルスで有名なのはB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスです。これらは慢性肝疾患のおよそ80%を占めるとされています。しかし、近年はこれらウイルスに対する抗ウイルス薬が目まぐるしく進化しています。抗ウイルス薬の開発で、体内から肝炎ウイルスを排除できた人も出ているのです。排除できずとも不活化に近い状態で、慢性肝炎を引き起こさずに生涯を終える人もいます。

抗ウイルス薬により、ウイルス性肝臓がんの数は減少傾向ですが、アルコールにより慢性肝炎となり肝臓がんへ移行する症例は減っていません。アルコールだけでなく、喫煙や不摂生な食事を繰り返すことで生活習慣病として肝臓がんを発症するのです。肥満や糖尿病の患者はアルコールと関係なく肝臓がんを発症することから「非アルコール性脂肪性肝疾患(NASH)」と呼ばれています。NASHを放置すると肝硬変や肝臓がんへ進行する可能性が高くなります。

▲肝臓がんの症状

肝臓という臓器はよくも悪くも再生します。つまり、少しくらい傷ついても無症状で経過してしまうのです。これを言い換えると、重篤な肝臓がんへ進行するまでは無症状で過ごすことが多いとなります。事実、多くの肝臓がん患者は炎症やがん化したとしても気づくことはなく、健康診断などで指摘されることが多いです。肝機能が低下すると血液検査で異常が指摘されるだけでなく、全身の倦怠感や疲れやすさが出現します。また、腹部膨満感も出現して慢性肝炎と同じような症状で悩まされるのです。そのまま放置すると、肝硬変から肝臓がんへ移行。皮膚が黄色くなる黄疸やお腹に水が溜まる腹水などの症状が出ます。全身に痒みが出ることやむくみ、便秘や下痢などの症状が出る人もいるのです。

 

  • 肝臓がんリスクチェック

肝臓がんのリスクが高い人とはどんな人でしょうか。実際にハイリスクと呼ばれる人の特徴を紹介していきます。

▲肝炎ウイルス陽性

B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの陽性者は肝臓がんの発症リスクが高くなります。健康診断で過去に指摘された方や手術の術前検査で陽性と判明した方は注意しましょう。過去に指摘されても現在症状がないからと放置している場合はより注意が必要です。身体の中でウイルスが増え続けている可能性があります。肝炎ウイルス治療は専門知識を有する医師のもとで行う必要があります。肝臓がんに特化した医師のクリニックで治療を受けましょう。

▲アルコール多飲者

常習的にアルコールを飲用する人は注意しましょう。いわゆるビール腹の人も同様です。お酒は肝臓で分解されます。適量以上に飲用することで、肝臓へ負荷が継続的にかかり肝炎を引き起こすのです。

▲急に太った人

ここ数年で急激に体重が増加した経験のある人は肝臓疾患に注意しましょう。アルコールを飲用しなくても脂肪が多く蓄積されると肝臓へ負担となります。適切な食事を適量取り、適度な運動を心がけましょう。

▲血液検査で異常を指摘された人

過去に血液検査で異常を指摘された人も注意しましょう。肝機能はγ-GTPやALT、ASTという検査項目で評価されます。これらが高い値を示すと肝機能低下が疑われます。

  • 肝臓がんの初期症状〜末期症状

肝臓がんの症状は段階ごとに異なります。ここでは初期症状〜末期症状まで紹介していきます。

▲無症状

肝臓がんの初期症状はほとんどありません。前述でも紹介していますが、肝臓は自己再生能力があります。少しくらい傷ついても再生して、普段通りの仕事をしてしまうのです。無症状で経過するためステージⅠなどごく初期の状態で見つかることはほとんどないと思って良いでしょう。肝機能の数値が悪い人や肝炎ウイルスについて指摘された人は定期的な検査が必要になります。

▲疲れや倦怠感

全身の倦怠感や容易に疲れやすくなるのは肝硬変の特徴です。肝臓がんになる前に、肝臓が硬くなる肝硬変という状態になります。

▲黄疸

肝臓で分解されるビリルビンという物質があります。これは本来黄色を呈していますが、肝機能の低下により分解されなくなると血液中へ移行します。毛細血管のある目や表皮には血液中のビリルビンの黄色が反映され、皮膚が黄色くなる黄疸という症状が出るのです。

▲こむらがえり

肝硬変に伴い肝機能が低下すると、こむらがえりが頻発します。肝臓がんの末期患者の中には、こむらがえりが全身に起きた人もいるほどです。

▲しこり

肝臓は腹部の右上あたりに位置します。肝臓がんができるとここへしこりができることがあります。

  • 肝臓がんの治療法

肝臓がんの治療法として切除・穿刺療法・肝動脈塞栓術があります。基本的に肝臓の小さな病変には切除術が行われます。今まで何度も紹介していますが、肝臓は切除しても自己再生能力があるため問題ありません。肝臓の1/3を切除しても問題ないのです。それくらい肝臓は強い臓器ということがわかるのではないでしょうか。また、術前検査では見つからないような小さながんも開腹手術により発見できることがあります。しかし、肝臓は代謝に関係する重要な臓器です。肝硬変の進行具合によっては手術に耐えられない人もいて、切除術が適応となるのは肝臓がんの3割程度になります。腫瘍の大きさが大きい場合は放射線治療で対処することが多いです。

  • 肝臓がんは未だ悩みの種

肝臓がんは無症状で進行するため、医療者にとって悩みの種となっています。早期発見・早期治療をするためにはハイリスク患者の定期的な検査が不可欠です。しかし、多くの人は自分がハイリスク患者と自覚しないで生活しているのです。健康診断をしばらく受けていない人はぜひ検査を受けてください。そしてハイリスク患者になっている場合は、しっかりと病気と向き合い発症させないような生活習慣に改めましょう。定期的な検査で早期発見できれば生存率も高くなります。

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