インフルエンザと肺炎球菌!高齢者の罹患しやすい感染症とワクチンの話

冬場になると「ワクチン」という言葉を聞く機会が多くなるのではないでしょうか。ワクチン摂取をすれば病気を防げ、健康でいられると思っている方がいますが、必ずしも病気を防げるわけではありません。そこで今回は高齢者に対するワクチンに関して話を進めていこうと思います。

  • ワクチンとはどんなものなのか

ワクチンの話を進めていくためには「ワクチン」というものがどういうものなのか理解する必要があります。まずは、ワクチンがどのようなものなのか説明します。ワクチンとは、免疫を獲得するために摂取するものです。免疫には自然免疫と獲得免疫という2種類があり、それぞれ作用が異なります。自然免疫とは、一般的な「治癒」を意味します。風邪をひいたときなどに自然と治る。あれは自然免疫で異物(ウイルスや細菌)が排除されたことを意味します。一方、獲得免疫とは一度感染して「抗体」ができることで再感染しないという免疫システムです。代表的なもので麻疹があります。麻疹は一度感染すると、二度と感染しません。これは体内に抗体ができて、麻疹ウイルスを身体のリンパ球が記憶しているためすぐに排除できるのです。

そんな獲得免疫のシステムを有効活用した予防方法がワクチンになります。次はワクチン の種類について見ていきましょう。ワクチンは大きく3種類に分けることができます。

▲生ワクチン

生ワクチンとは、生きたウイルス・細菌を症状が出ないが、獲得免疫で抗体ができるギリギリまで抑えた製剤です。簡単に説明すればワクチンを介して、病原体を入れて身体のなかで免疫細胞等に排除させることで抗体を獲得しています。副作用として、ワクチンを介して体内へ入った病原体の症状が出ることがあります。

代表的な生ワクチン)麻疹・風疹・おたふく風邪・水疱瘡・結核

▲不活化ワクチン

不活化ワクチンとは、ウイルスや細菌の毒性をなくして、免疫に必要な成分で作られた製剤です。生ワクチンのように病原体を体内へ取り入れないため、発症することはありませんが十分な免疫を発揮するためには規定回数摂取する必要があります。

代表的な不活化ワクチン)B型肝炎・インフルエンザ・百日せき・ポリオ・日本脳炎

▲トキソイド

トキソイドとは、不活化ワクチンとほとんど同じです。

代表的なトキソイド)破傷風

  • ワクチンを摂取する意味

ワクチンがどのようなものなのか理解できましたか?では、なぜワクチンを摂取するのかという話をしましょう。ワクチン摂取の大きな目的は3つあります。

▲自分が罹患しないため

今、この記事を読んでいる方はワクチン摂取をしましたか?2020年であれば新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時発症が懸念されていることから、既にあるインフルエンザワクチンを摂取する人が激増していました。これはインフルエンザの流行期が冬期であり、流行前にワクチン摂取をしようとする動きがあるからです。インフルエンザに罹患しないためにワクチンを摂取する。つまり、自分が罹患しないためにワクチンはあるのです。

▲軽症にするため

ワクチンを摂取していると若干ではありますが、免疫が獲得できています。その結果、重症化のリスクを軽減できるのです。では、ワクチンを摂取しないとどうなってしまうのでしょうか。

ワクチンを摂取しないと重篤な後遺症が出たり、命の危険が起きたりすることがあります。麻疹やおたふく風邪はその代表で、小児が罹患してしまうと大変です。他にもワクチンを摂取していない妊婦さんが罹患すると、胎児へ影響を与える可能性も指摘されています。では、ワクチンはどれくらい普及しているのでしょうか?インフルエンザワクチン限定の65歳以上の高齢者を対象にしたデータですが、世界と日本の比較データがあったので見ていきます。

日本では、インフルエンザワクチンの摂取率が50%でした。一方、韓国・オーストラリア・アメリカ・イギリスは65%以上です。日本よりも高い値を示しています。チェコやハンガリー・スロバキアなどの国々は40%以下となっており、日本よりも低い値を示しています。日本では地域によって異なりますが、65歳以上の高齢者はインフルエンザワクチンの摂取料が無料のところもあるほどです。それでも50%の人しかワクチン接種をしないことには驚きます。

▲周りの人へ移さないため

新型コロナウイルス感染症の流行とともに「予防意識」が高まりました。ワクチンには疾病を発症しない予防効果ともう一つ、周りの人へ移さないという予防効果が期待できます。国民が適切にワクチン接種をし、免疫を獲得しておくことで感染拡大を防止できます。

  • 高齢者のワクチン

ここまでワクチンの概要について話を進めてきました。ここからは高齢者のワクチンについて紹介していきます。

▲肺炎球菌ワクチン

高齢者のワクチンで代表的なものの一つに肺炎球菌ワクチンがあります。肺炎球菌とは、肺炎球菌感染症を引き起こす原因細菌の一つで、感染すると気道の分泌物内部に含まれて咳やくしゃみをしたときに飛沫感染します。肺炎球菌が原因となり、気管支炎や肺炎・敗血症などの重篤な疾患を招くことがあるため、ワクチン接種が推奨されています。肺炎球菌ワクチンは高齢者を対象として、65歳から5歳刻みになりますが、格安で接種できます。

▲インフルエンザワクチン

平成13年から65歳以上の人へ定期接種となったのがインフルエンザワクチンです。10月~12月に接種すると、インフルエンザの流行期に免疫力が高くなり重症化を防ぐことができるというデータが出ています。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、ワクチン不足になるほどですが、持病を抱えている人は毎年接種すると重症化予防に期待できます。

 

▲水痘帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスに対するワクチンです。帯状疱疹は一度、感染してしまうと身体の中から排出されることがありません。発症すると神経痛が起きやすく、神経痛が原因で不眠症やうつ病のような症状が起きることも珍しくありません。そうした背景から平成28年から水痘ワクチン接種が50歳以上で可能になりました。

  • 高齢者のワクチン接種における問題

高齢者にとってはワクチン接種をすることで疾病の予防や重症化の予防へと繋がり、健康と直結することがわかりました。では、高齢者のワクチン接種は絶対安全なのでしょうか。ここでは高齢者のワクチン接種における問題点を抽出していこうと思います。

▲副作用の危険性

ワクチンは万能なものではありません。一定数、副作用が出ることが報告されています。肺炎球菌ワクチンの場合は、注射部位の腫れや発赤、頭痛などの副作用があり、全体の約75%程度で副作用が起きていることがわかります。中にはアナフィラキシーショックなど重篤な副作用が起きるケースもあり、高齢者に注意が必要です。

▲通院困難

高齢者の方の中には身体的・社会的に通院ができなくなってしまう方がいます。通院できないことで適切な検査・適切な治療を受けることができない方が出てきてしまいます。

  • 高齢者は疾患が重篤化しやすい

高齢者は基礎疾患を抱えている人が多く、感染症に罹患すると重症化しやすいという特徴があります。また、症状は一定ではなく個人差が激しいのも特徴です。中でも肺炎球菌は高齢者の罹患する肺炎の原因として有名です。肺炎を起こすと日常生活を送れなくなることも珍しくありません。感染症に罹らせない・かかっても重症化させないことが高齢者にとっては重要になります。

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