高齢者におけるインフルエンザの予防法を紹介

高齢者の方にとって冬は特に気をつけなければいけないシーズンです。その理由として風邪の流行や、ウイルス性胃腸炎などの食中毒、ヒートショックなど突然死の危険性が高くなるからです。また、2019年から世界規模で流行している新型コロナウイルス感染症も猛威を奮うことが懸念されています。そこで今回は高齢者の方がインフルエンザを予防するためにはどのようなことをしなければいけないのか紹介していきます。

  • インフルエンザって恐れなければいけない?

インフルエンザと聞くと皆さんはどう思いますか?新型コロナウイルスに比べれば恐れなくても良いと思うか、インフルエンザこそ恐れなければいけないと思うか。それは人それぞれだと思います。インフルエンザが人々から恐れられる原因。それはヒトーヒト感染だけではないということです。

例えば、ヘルペスウイルスというウイルスがあります。これは人から人へ感染する「ヒトーヒト感染」です。インフルエンザは人から人へ感染しますが、動物へも感染します。代表的なものが「鳥インフルエンザ」や「豚インフルエンザ」です。これら動物性インフルエンザが感染を繰り返していくと、インフルエンザウイルスが変異することがあるのです。インフルエンザウイルスが変異するとどのようなことが起きるか。それは感染力や毒性が強くなる恐れが出てきます。例えば、新型コロナウイルスも2020年3月は中国型と呼ばれる毒性が強く、感染力が弱いウイルスでしたが、5月ごろからはスペイン型の新型コロナウイルスが流行しました。スペイン型は感染力が強く、毒性が弱いことが特徴でスペイン型が流行したことで重傷者や死亡率が低下したものと考えられます。

▲ウイルス変異の可能性

インフルエンザは毎年マイナーチェンジをしています。マイナーチェンジをしているだけであれば感染力が増減・毒性が増減する程度で多くの人は重症になりません。しかし、ウイルスが突然変異することでインフルエンザは新型コロナウイルスやエボラ出血熱ウイルスよりも怖いものへと変化するのかもしれません。

エボラ出血熱の原因ウイルスはもともとコウモリが保有していたウイルスです。コウモリを食べる風習のある国を中心に、コウモリの体内からウイルスを接種。ウイルスは人間の体内でも生きられるようになり、エボラ出血熱という病気が誕生しました。流行当初、アフリカでは致死率が50%〜90%と高い値を示しており、治療法を確立するまで時間を要しました。当時は、軍隊により地域住民を外へ出さないよう隔離することしかありませんでしたね。インフルエンザの中では「鳥インフルエンザ」と「鳥インフルエンザが元となっている新型インフルエンザ」が変異する可能性を秘めているとされています。

  • 風邪とインフルエンザの違い

冬になると風邪を引きやすくなります。これは空気が乾燥してウイルスが体内へ入りやすくなるからです。また、季節性インフルエンザとされる従来のインフルエンザも多く流行します。小学校や中学校では学年でインフルエンザの流行がみられると学年閉鎖などの処置を講じるところもあります。風邪とインフルエンザの大きな違いは筋肉痛です。風邪の多くは筋肉痛や関節痛を起こしませんが、インフルエンザの場合は筋肉痛や関節痛が起きます。また、強い倦怠感や寒気も特徴です。そして何より風邪と異なるのが合併症です。風邪の多くは自然治癒するため放置しても問題ありませんが、インフルエンザは放置してしまうと取り返しのつかない症状もあるのです。

▲インフルエンザの合併症

インフルエンザの合併症として有名なのが肺炎とインフルエンザ脳症です。肺炎は肺へ炎症が起きてしまい、高熱や呼吸困難をきたす病気です。インフルエンザで体力が低下したところへ細菌が感染して起こす肺炎を「二次性細菌性肺炎」と呼ぶことがあります。インフルエンザ脳症とは主に小児が罹患しやすく、意識障害やけいれん・嘔吐・頭痛などの症状が特徴です。1歳〜2歳の子供に集中して発症し、1年間におよそ300人が発症しています。

▲インフルエンザと子供

インフルエンザになると服薬するのが抗インフルエンザ薬です。代表的なものでタミフルやリレンザといった種類があります。この中でもタミフルは子供への処方に注意が必要ということで話題になりました。問題になったのは異常行動です。タミフルを服用した子供が異常行動を起こしたという報告が日本全国から上がったのです。これを受け、10代の患者にはタミフルの服用を制限するよう医師会が動くといったニュースがありました。

▲インフルエンザと高齢者

インフルエンザは子供だけでなく、高齢者の方にも注意してもらいたい病気だというのはわかりましたか。また、インフルエンザはいつまでも「今のインフルエンザ」ではなく新型ができるリスクがあるということです。新型インフルエンザとなり、感染力・毒性ともに上がってしまうと新型コロナウイルスよりも予防策を講じなければいけません。

  • インフルエンザを予防するためには?

ここからはインフルエンザを予防するために何をするべきか紹介していきます。インフルエンザだけでなく、感染症予防の観点から重要なことをまとめています。参考にしてみてください。

▲手洗いと消毒

インフルエンザが付着したものや場所を触り、そのまま鼻や口へ手を持っていくと、手に付着したインフルエンザウイルスを体内へ入れてしまうことがあります。外出したら、手洗いを忘れずにしましょう。また、手洗いだけでなくアルコール含有の消毒液を使用してこまめな消毒も忘れずに。

手洗いの目安は30秒〜1分ほど。その後、流水でよく洗い流してきれいなタオルで拭きましょう。ハンドソープがない場合は、流水下で30秒程度洗うだけでも手に付着しているウイルス数を少なくできます。

▲うがい

鼻や喉の粘膜にウイルスが付着したままだとインフルエンザへ感染してしまいます。そこでうがいが重要になるのです。口や喉のうがいは、ブクブクうがいとガラガラうがいの2種類をしましょう。口の中だけでなく、喉粘膜のウイルスを吐き出すことができます。また、最近では鼻うがいが登場しました。鼻うがい用のボトルなども販売されているため、今年の冬は鼻うがいに挑戦してみませんか?

▲マスクを着用する

インフルエンザウイルスはくしゃみや唾を介して広がる飛沫感染をします。対人の飛沫を防ぐ意味でもマスク着用は必須です。マスクがない場合はティッシュや服の袖で口元を覆うことで同じような効果が期待できます。

近年、街中ではマスクから鼻だけ出している人がいますが、これでは十分な予防効果が期待できません。マスクを着用するときは鼻と口を覆って、顔にフィットするよう調節しましょう。

▲湿度と換気

新型コロナウイルス感染症予防でいわれるようになった「3密(密閉・密集・密接)」を避けるようにしましょう。特に冬季は外気温が冷たいため、部屋の換気が疎かになりがちです。冬季でも適度に部屋の換気をしましょう。WHOの定めた目安では1時間に6回換気をすると良いとされています。6回とまではいかなくても、3回程度は換気しましょう。ウイルスは空気が乾燥すると増殖しやすくなります。部屋の中では加湿器を使用し、適度な湿度を保つようにしましょう。

▲ワクチン接種

インフルエンザウイルスにはワクチンがあります。高齢者の方は定期接種といい、一部公費負担が入ります。それほど、高齢者の方はワクチン接種をして欲しいと国が思っているのです。インフルエンザはシーズンごとに流行する型が異なるためワクチンを接種したからと言って確実に予防できるとは限りません。しかし、肺炎やインフルエンザ脳症など重症化させない働きがあるのです。高齢者の方は自治体のお知らせを確認してインフルエンザワクチンの接種を検討してみましょう。

  • 高齢者は重症化しやすい

毎年、インフルエンザは子供よりも高齢者の方が死亡率が高いという結果になっています。高齢者の方は体力や免疫力が低下しているため、重症化しやすくなるのです。また、喫煙歴がある人の割合も高く、呼吸器系疾患が起きやすくなります。今回紹介した予防法を実践して、高齢者の方はインフルエンザや新型コロナウイルスを予防しましょう。

近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
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