手指消毒に使うアルコール消毒の適正濃度っていくつ?成分なども解説します

新型コロナウイルスの流行により、感染症予防に力を入れる人が多くなりました。一般的な予防法としては手洗い・うがい・消毒という3点セットが重要になります。今回はその中でも消毒に注目して紹介していこうと思います。

●感染症予防と消毒
消毒はもともと手指にするものではなく、設備や床・壁などにするものでした。熱水・蒸気など熱と消毒薬を併用することでウイルスや細菌を殺していました。消毒薬で有名なのはアルコールですよね。皆さんも新型コロナウイルス感染症予防でアルコールが効果あると聞いたことあるのではないでしょうか。他には酸化剤や界面活性剤なども消毒薬として使用されます。
俗にいうwithコロナ時代となった今、飲食店をはじめとするお店では入り口で検温と手指消毒が一般的になりました。検温で発熱が認められる人は体調管理の面でも入店拒否をすることが懸命です。では、手指消毒はどうなのでしょうか。コロナウイルスは咳やくしゃみを口を手で覆ったときなど、手にウイルスが付着している可能性があります。それをお店のものを介して、他のお客さんが接触感染しないためにも手指消毒が必要になるのです。このように店頭で手指消毒するのが一般的になっている中、帰宅時に手指消毒だけで済ませてしまう方がいます。これは感染予防として十分ではありません。


▲手指衛生の標準予防策(スタンダードプレコーション)
アメリカの国立疾病予防センター(CDC)では、感染症対策ガイドラインとして「血液・体液・分泌物・吐瀉物・排泄物・皮膚・粘膜血液」を感染危険物として取り扱うべきと定めています。また、CDCは医療現場における手指衛生のためのガイドラインを策定しており、その中では手洗いを推奨していました。流水下で30秒から60秒手洗いをして、洗い残しが出ないようにした場合のみ手洗いの評価ができます。しかし、多くの手洗いは10秒前後で正しい手洗いができているかという評価からの問題になります。そこでwithコロナ時代の手指衛生の標準予防策となるのが消毒薬の併用です。
手洗いの場合は洗い残しがあればその部分の汚れやウイルスは取り除けません。そこへ消毒液を併用すると感染防止策として効果がより期待できます。一般的には速乾性手指消毒薬と呼ばれるアルコール成分が配合された消毒薬の使用が望ましいです。
▲うがいと消毒薬
手洗いだけでなく、うがいも感染予防に有効として現在多くの方が実践しています。皆さんは帰宅後や出社後に水でうがいをする派ですか?それともうがい薬を併用していますか?うがい薬に関しては大阪府知事の発言が起因となり、全国のドラッグストアで売り切れになる社会現象が起きましたね。うがい薬は喉の違和感や腫れ・痛みなど軽度の自覚症状がある場合に併用すると効果が期待できます。うがい薬の中には、抗炎症成分が含まれているからです。

●手指用アルコール消毒薬の適正使用
アルコール消毒薬はどのメーカーのものでも変わりないと思っていませんか?アルコール消毒薬は正しい濃度のものを使用しなければ効果がでません。まずはアルコール消毒薬の適正な濃度について話を進めていきましょう。
▲アルコールとウイルスの関係
消毒薬といえばアルコールをイメージする方が多いと思います。新型コロナウイルス感染症ではアルコールが消毒に有効と報道されてから、アルコール系の消毒薬がドラッグストアから消えました。実際、新型コロナウイルスにアルコールは有効なのでしょうか。答えは効果があります。ウイルスの中には外膜としてエンベロープを持っているものがあります。新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス・エイズウイルスなどはエンベロープを保有しているため、エンベロープウイルスと呼ばれることもあります。エンベロープはアルコールにより、エンベロープが破壊されてウイルスが不活化(死に近い状態)します。
▲アルコール消毒薬の濃度
アルコール消毒薬で重要になるのは濃度です。アルコール濃度といえばお酒などでも使用されますよね。アルコール消毒薬が不足していた2020年は厚生労働省が「度数が高いアルコール飲料も消毒薬の代用品となる」という声名を出したため高濃度のアルコール飲料が売れたこともありました。
市販のアルコール消毒薬を見てみると濃度が記載されています。見ると60%や70%などと記載されており、どの濃度の消毒薬を選べば良いかわからないという方もいます。そんな方を対象に各機関がアルコール消毒薬の適正濃度を提示しています。日本薬局方は76.9〜81.4%、米国薬局方は68.5〜71.5%、WHOは60〜80%が適正濃度となっています。全体的には80%前後を基準にしているようですね。90%以上になるとアルコールが強すぎて手指へ悪影響を与えてしまうため濃度に上限を設けています。では、実際にどのような悪影響が出るのでしょうか。
▲アルコール濃度が濃すぎるとどうなるのか
アルコール濃度が濃すぎると手指の常在細菌類も殺菌してしまいます。また、アルコールが長時間手に触れることで手が荒れやすくなります。近年では荒れないような成分が配合されている消毒薬もありますが、体質で荒れやすい人がいるため注意しましょう。他にもアルコール濃度が高いと弊害があります。それが可燃性です。アルコールは理科の実験でアルコールランプとして使われるほどです。高濃度のアルコール消毒薬は可燃性が高く、静電気が発生しやすい冬季には特に使用に注意しましょう。
アルコール濃度が高いものを購入しても、消毒薬の蓋を開けたときにアルコールは揮発します。それにより濃度が70%前後まで下がることが報告されているのです。つまり、アルコール濃度が高い消毒薬を購入しても、手が荒れるだけでなく濃度が高いのは一瞬で、使用し続けると濃度が下がることがあるのです。これらを参考に適正濃度である70%〜80%のアルコール消毒薬を選定するようにしましょう。

●アルコール消毒薬の種類
アルコール消毒薬を購入してみても成分表をみるとアルコールとは別のものが記されています。そこでここからはアルコール系消毒薬で使用される成分について解説していこうと思います。
▲エタノール
エタノールという言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。医療現場ではガーゼや脱脂綿に染み込ませて使用しています。注射する前の皮膚消毒や手指消毒に使用されることが多いです。70%以上の濃度で効果を発揮し、速乾性があるのが特徴です。アルコール系消毒薬の中で最も効果が期待できます。
▲イソプロパノール
イソプロパノールはエタノールとほぼ同程度の消毒効果があります。しかし、脱脂効果が高いため同濃度でイソプロパノールとエタノールを比較するとイソプロパノールの方が手荒れがしやすくなっているので注意しましょう。


▲アルコール消毒薬の代用品として次亜塩素酸系
次亜塩素酸系の消毒薬というのが新型コロナウイルスの登場とともにピックアップされました。次亜塩素酸というのは本来、キッチンハイターなどに使用される漂白効果もある強力な薬液でした。次亜塩素酸ナトリウムというのが正式名称で、アルコールが効かないとされるエンベロープを持たないウイルス(代表的なものでノロウイルス )に効果を示すことがわかっています。あまりに強力なため、使用する際は手袋を着用して換気の良い場所で使うことが推奨されています。新型コロナウイルス流行下では、次亜塩素酸ナトリウムをイオン化した次亜塩素水に注目が浴びました。イオン化するため次亜塩素酸ナトリウムのような人体への悪影響がなくなっています。厚生労働省のホームページをみると、手指への消毒効果はまだ未解明ですが物に対する消毒効果は期待できるとのことです。アルコール消毒薬を手指だけに使用して、物や手すりなどの消毒は次亜塩素水を使用するのも一つの手ですね。

●感染予防は全てのものへ
感染予防は日頃から注意しなければいけません。街中で会う人が「全員感染しているかも」という疑いの目を持ちながら、帰宅後や帰社後には手洗い・うがいを忘れずに行いましょう。また消毒薬を適切に使用しましょう。

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