病院でおこなっている感染症対策の方法を紹介します

医療現場では新型コロナウイルス感染症をはじめ多くの感染症対策を講じています。もちろん普段から感染症対策をしていますが、新型コロナウイルス感染症をはじめとする未知のウイルスには特段の対策をしています。今回は標準的な病院の感染症対策を紹介するだけでなく、新型コロナウイルス感染症において特化している感染症予防対策について紹介していこうと思います。

  • 病院組織における感染症対策

病院組織では感染症に対応する責任者が決められています。この責任者をトップとして院内感染対策班が構成されていることが多いです。また、この責任者は病院長や施設管理者のことが多く感染症に対して病院組織が慎重に考えていることがわかるのではないでしょうか。今回は「医療機関における院内感染対策マニュアル」という平成25年に発表されたマニュアルの中から実際にどのような予防策を講じているのか紹介していきます。

▲標準予防策

標準予防策とは、スタンダードプレコーションと呼ばれているものです。すべての患者さんが何かしらの疾患や感染症を抱えているという前提のもと処置をします。望まれる感染症対策の方法としては患者さんと接触する際に手袋・ガウン・マスク・ゴーグルの着用が必須となります。現在ではフェイスシールドというマスクとゴーグルが一体化したような簡易的な標準予防策がありますね。これらの装備をしてからやっと患者さんと接することができるのです。

患者さんに接するときや接した後は手指を衛生的に保つ必要があります。手指衛生を保つ際には手洗いはもちろん、消毒も必要となります。手洗いをするときは普通石鹸と流水で手指の汚れと手に付着している微生物を取り除きます。手洗いは術者(医師や看護師)が手袋を着用していても行いましょう。手洗いをした後は、アルコール消毒を手指にします。アルコールは一般的なウイルスや細菌に効果を示しますが、ノロウイルスなど一部のウイルスには効果を示しません。そのような場合はアルコールにより消毒することをメインにするのではなく、手洗い時に普通石鹸や流水にて取り除くようにしましょう。手洗い後に手荒れが酷くなってしまう方はハンドローションやハンドクリームなどでケアすると良いでしょう。

標準予防策で使用する装備品について詳しくみていきます。手袋は血液や体液を触る可能性があるときやそれらに汚染されたものを触るときに着用します。手袋は装着するときよりも外す時の方がリスクが高いです。手袋を外した後は手洗いをして消毒をしましょう。手袋は同じ患者さんで使用し続けるのではなく、処置ごとに交換しましょう。ガウンやエプロンは皮膚・着衣が汚染されるのを防ぐ働きがあります。使用後のガウン・エプロンを脱いだ際にも手袋同様に手洗い・消毒を忘れずにしましょう。マスク・ゴーグルも同様です。

▲事故の防止

注射針やメスはディスポーザブル(使い捨て)のことがほとんどです。注射針はディスポーザブルで、シリンジやポンプ部分は繰り返し使用するとなると針部分をつけ外ししなければいけません。このときに針刺し事故などが起きると血液感染(HIVウイルスやC型肝炎ウイルスなど)のリスクが高くなるので注意が必要です。針刺し事故のリスクを下げるためには注射針をキャップに戻さずにそのまま捨てるなどの方法で対応しましょう。

▲予防接種

病院は不特定多数の患者さんが来院します。患者さんがどのような病気を持っているのかわからない中、働く医療スタッフも多いです。そこで感染リスクの高い疾患に対する予防接種が有効となります。代表的なものとしてはインフルエンザの予防接種やB型肝炎ウイルスの予防接種があります。他にも水痘・麻疹・風疹・流行性耳下腺炎(おたふく風邪)にう対するワクチンもあります。

▲抗菌薬の適正使用

抗菌薬とは抗生物質のことです。抗生物質をもらうときに「飲み切ってください」と言われることがありますよね。抗生物質を中途半端に飲んで服薬中止などをしてしまうと抗生物質に対する抗体ができることがあります。医師の指導のもと、抗生物質を適正使用して耐性菌が出ないようにしましょう。

  • 感染経路別予防策

感染症は種類により感染経路が異なります。ここではどのような感染症がどのような経路で感染するのか紹介していきましょう。

▲空気感染

空気感染とは病原体を含んだ飛沫を吸い込むことで感染を起こす感染経路のことをいいます。くしゃみや咳などと一緒に排出された飛沫核を吸い込んで感染することを「飛沫核感染」、病原体が付着したほこりが気流や風で舞っている状態で吸い込み感染することを「塵埃感染」といいます。

飛沫核感染に似た感染経路で飛沫感染というものがあります。これは病原体を含む飛沫を身感染者が吸引するか、鼻や目などの粘膜組織に付着することで感染します。飛沫核と飛沫の大きな違いは飛沫核は空気中に長時間浮遊しますが、飛沫感染は空気中に浮遊できません。空気感染を防ぐためにはマスクの着用やフェイスシールドの着用があります。結核や新型コロナウイルス感染症にはN95マスクが有効です。

▲接触感染

感染症に汚染されたドアノブや医療器具を介して、接触することで感染する経路のことです。接触感染の中には経口感染・粘膜感染・性行為感染があります。

■経口感染

病原体に汚染された水や食品を経由して経口摂食することで感染します。他にも糞便が手指を介して摂食されることも経口感染といいます。糞便感染はノロウイルスなどが代表的です。

■粘膜感染

患者の血液が眼や鼻の粘膜に付着することで感染する経路のことです。

■性行為感染

性行為により感染する経路を性行為感染といいます。HIVウイルスやC型肝炎などがこれに該当します。

 

接触感染を防止するには汚染されたものとの接触を防ぐ意味で手袋の着用が推奨されます。また、他の患者さんが触って感染しないようにアルコール消毒をすることも有効です。経口感染を防止するためには食品の十分な加熱や賞味期限を守った消費を心がけましょう。

  • その他の感染

医療機関の感染症というわけではないですが感染経路のリスクがあるものについて紹介していきます。

▲母子感染

母子から子供や胎児に直接感染する経路のことです。母子感染の中には胎盤感染・産道感染・母乳感染があります。胎盤感染は妊娠中に母体内の胎盤を介して感染します。産道感染は出産時に産道通過をする際に感染します。母乳感染は母乳を介して感染します。

▲経皮感染

汚染された注射針やメスにより感染する経路のことです。蚊やアブ・動物の咬傷による感染があります。

  • 新型コロナウイルス感染症における感染症対策

新型コロナウイルス感染症に対して病院がどのような感染症対策を講じているのか紹介していきます。新型コロナウイルス感染症は飛沫核感染と接触感染が主とされています。空気感染しないため人と人の距離を1m〜2m程度開けて生活するようになっているのです。さらに、接触感染しないように手袋を着用して患者さんの診療をしている病院が多いです。

病院内ではマスクの着用を義務付け、院内の空気を定期的に換気しています。患者さんに使用した医療器具は消毒や滅菌をしてウイルスを取り除いてから再利用している病院がほとんどです。

一方、2020年6月現在では簡易的な検査方法の精度が足らない問題やワクチン・治療薬の開発が進んでいない状況があり、新型コロナウイルス感染症と早期に断定することは困難です。そのため医療スタッフの検温や体調不良の自己申告を徹底して、体調が悪いスタッフは出勤させないなどの処置を講じる他ありません。

  • 感染症対策は「ある」と思うしかない

明らかに感染症の症状が出ている人であれば対策できますが、無症状キャリアの方や本人も自覚がない症例などがあります。感染症対策の原則は、すぐそこに感染症が「ある」という疑いを持ち続けることです。特に病院はその性質上、様々な疾患を抱えた人が来ます。街中も同じです。自分が病気に罹患していると知らない人は外出していますすぐそばに感染症のリスクがあると思って生活してみてください。

近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
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