在宅医療にかかる平均費用を紹介します

在宅医療を検討している方の多くが気になるのが「医療費用がどれくらいかかるのか」ということです。そこで今回は在宅医療にかかる費用がどの程度なのか、実際に保険点数を提示しながら紹介していこうと思います。

  • 在宅医療とはどのようなものがあるか?

在宅医療という言葉の中には、訪問診療と往診の2種類があります。在宅医療全体の話を進めていく中で、2つの違いは理解しておいた方が良いので紹介したいと思います。

▲訪問診療と往診の違い

訪問診療とは定期的に診療のスケジュールを組まれている状態で、医師や看護師が「毎週●曜日の▲時」と決まった間隔で訪問してくれます。その一方で、往診とは定期的に診療のスケジュールが組まれておらず、体調の急変時に医師へ連絡をして診てもらうことをいいます。このように「定期的なスケジュール」の有無で訪問診療と往診の定義がされています。

 

▲在宅医療の範囲

在宅医療に馴染みのない方は病院で行う医療と在宅医療でできる医療行為に差があると思う方が多いですが、大規模な機械を伴う医療行為以外は差がないといっても過言ではありません。CT検査やレントゲン検査・がんに対する放射線治療など持ち運びができない医療機器を使用しなければいけない医療は在宅医療ではできません。

しかし、点滴や簡単な外科処置(簡単な縫合など)であれば在宅医療で対応できます。点滴だけでなく経口摂食できなくなってしまった方へ対する経鼻または経胃栄養管処置も在宅医療で実施できます。このように在宅医療では適応される医療の範囲が幅広く、一般的な医療であれば問題なく受けることができます。

  • 在宅医療にかかる費用は平均どれくらい?

在宅医療にかかる費用の中には次のものがあります。

▲診療費

ここでいう診療費とは一般的な診療費のことです。診療所や病院などでいう初診料や再診料に当たります。後述で点数については追記しますが、訪問診療では基本的な診療費として在宅患者訪問診療科というものがあります。この基本的な診療費用には患者さんが自宅で最期を迎える「ターミナルケア」を希望するか否かによっても点数が異なってきます。

 

▲往診に対する診療費

患者さんの急変に対する往診に対しては、時間帯や休日などで加算点数があります。他にも往診以外にも医師の呼びかけて歯科医師や薬剤師・看護師などを招集して今後の治療方針について話し合う「在宅患者緊急時等カンファレンス料」が加算されることがあります。

 

▲検査費用

在宅医療を始めるにあたり必要な検査に対して加算されます。この検査費用だけでは診療所や病院などで行う検査と同点で加算されます。

 

▲介護保険が適用されることもある

患者さんの中には介護保険が適用されることもあります。介護保険が適用されるか否かは個人の身体状況や家族状況などにより変化するため、自治体などへ相談しましょう。介護保険が適用される方は介護用品のレンタルや居宅療養管理指導を受けることができます。

 

▲自費負担

在宅医療を利用した際に診療所や病院から患者さんの自宅までの交通費は自費として負担していただくことがあります。自費と聞くと高額なイメージを受ける方がいますが、実際は1キロあたり50円程度に設定されています。当方人では交通費をいただいておりません。

◼ 在宅医療で実際にかかる基本的な費用(基本点数)

実際に在宅医療で実際にかかる主な費用を紹介します。本ページでは保険点数として表記しています。保険点数は1点10円なので、各種点数に10円をかけていただきご自身の自己負担割合で計算すると概算で医療費を算出できます。

  • 医療保険

※定期的に訪問している場合

▶︎訪問診療

在宅患者訪問診療料(同一建物居住者以外) 833点

(同一建物居住者) 203点

【加算】
診療時間加算(1時間まで) 0点

+(30分ごと又はその端数を増すごと) 100点

在宅ターミナルケア加算4,500点

在宅療養実績加算1 750点

在宅看取り加算3,000点

死亡診断加算200点

▶︎医学総合管理料

在宅時 月2回以上訪問診療

〔末期悪性腫瘍、在宅療養指導管理等の患者〕

単一建物(診療患者1人)4,600点

単一建物(診療患者2~9人)3,780点

上記以外2,400点

〔上記以外の患者〕

単一建物(診療患者1人)3,700点

単一建物(診療患者2~9人)2,000点

上記以外1,000点

 

在宅時 月1回訪問診療

単一建物(診療患者1人) 2,300点

単一建物(診療患者2~9人) 1,280点

上記以外680点

【加算】
処方せんを交付しない場合300点

在宅移行早期加算100点

頻回訪問(4回以上の往診、訪問診療) 600点

包括的支援加算150点

在宅療養実績加算1 300点

 

※往診や要請があった場合の診療費用

▶︎往診

往診料(初診時)  720点+362点

往診料(再診時) 720点+72点

+(外来管理加算あり) +52点

【加算】

緊急往診650点
夜間(深夜を除く)・休日1,300点
深夜2,300点
診療時間加算(1時間まで) 0点

+(30分ごと又はその端数を増すごと) 100点

在宅療養実績加算1 75点
死亡診断時加算 200点

 

▶︎指導・指示費用

救急搬送診療料1,300点

在宅患者訪問点滴注射管理指導料100点

訪問看護指示料300点

【加算】
特別訪問看護指示加算100点

衛生材料等提供加算80点

介護職員等喀痰吸引等指示料240点

在宅患者連携指導料900点

在宅患者緊急等カンファレンス料200点

退院時共同指導料1 1,500点

 

※医療処置を実施または療養指導を受けた場合の診療費用

▶︎検査・処置

検査料(採血)

画像診断料

注射・点滴

処置料

上記検査・処置に関しては各項目の外来・入院時の点数と同点

 

▶︎特殊な医学管理

在宅自己注射指導管理料(複雑以外) 月27回以下650点

月28回以上750点

【加算】
注入器加算300点

注入器用注射針加算(1以外) 130点

自己血糖測定器加算(月90回以上) 1,170点

 

在宅酸素療法指導管理料(その他の場合) 2,400点

【加算】
酸素ボンベ加算(携帯用酸素ボンベ) 880点

酸素濃縮装置加算4,000点

在宅酸素療法材料加算100点

 

在宅中心静脈栄養法指導管理料3,000点

【加算】

在宅中心静脈栄養法用輸液セット加算2,000点

注入ポンプ加算1,250点

 

在宅成分栄養経管栄養法指導管理料2,500点

【加算】
在宅経管栄養法栄養管セット加算2,000点

 

在宅人工呼吸指導管理料2,800点

【加算】

陽圧式人工呼吸器加算7,480点

人工呼吸器加算6,480点

陰圧式人工呼吸器加算7,480点

 

在宅悪性腫瘍等患者指導管理料1,500点

【加算】
携帯型ディスポーザブル注入用ポンプ加算2,500点

 

在宅気管切開患者指導管理料900点

【加算】
気管切開患者用人工鼻加算1,500点

在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料2,500点

在宅経腸投薬指導管理料1,500点

 

ここで紹介した保険点数はごく一部です。実際におこなう処置によって点数が異なるので注意しましょう。

  • 在宅医療にかかる費用の平均

総合医療メディアQLifeが在宅医療を受けている患者さんの家族500名にインターネット経由でアンケートをした結果をみると、在宅医療にかかっている自己負担金は平均して19,590円だそうです。最小値は1000円、最大値は12万円と大きな開きがありますが前述のように医療行為に対して保険点数が決まっています。

自己負担金が多い方は様々な医療行為をしているため高額になっているのではないかと推測できます。同アンケートでは医療費に対して負担を感じているか否かもアンケートしていますが、全体の約75%の人が医療費を負担に感じているという結果になりました。

▲医療費に関する助成制度などを紹介

在宅医療を希望される方で、医療費が高額になると予測される方へ助成制度を紹介したいと思います。

■高額療養費制度

高額療養費制度とは医療費の自己負担金を軽くする制度です。病院だけでなく薬局などへ支払った医療費が一定金額以上になった場合、超過分が後日払い戻されます。高額療養費制度を申請する場合は医療機関から発行される領収書が必要になるため、領収書は大切に保存しておきましょう。

 

■医療費控除制度

医療費控除制度とは、1年間に支払った医療費を確定申告することで税金が還付される制度です。医療費だけでなく、医師の送迎費(自費部分)・在宅医療に用いる医療器具の購入やレンタル費なども含まれます。

 

■生活福祉資金貸付制度

自治体の社会福祉協議会が中心となり、医療費や生活費が足らない方へ貸し付けをしています。申請される方はお近くの市区町村社会福祉協議会へ相談しましょう。

 

  • 在宅医療は今後の選択肢として増えている

総合医療メディアQLifeの実施した在宅医療に関するアンケートの結果をみると、在宅医療と入院医療のどちらが良いかという質問に対して7割近くの人が在宅医療の方が良いと回答しています。また、在宅医療を受けるための環境整備や在宅医療に関する正しい知識が普及してるおかげもあり、在宅医療を選択する方は今後も増えていくのではないでしょうか。

近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
そこで私たちは、住み慣れたお住いに、24時間365日いつでも、どこでも、誰にでも医療をお届けするサービスを提供しております。もちろん緊急事態にも24時間体制で医師と看護師が対応いたします。好きな地元でゆっくり落ち着いて、お一人お一人その人らしく療養できるよう、患者様やご家族様に寄り添った医療を提供いたします。地域を愛し地域に根付き地域に愛される強い信念でお手伝いさせていただきますので、最期までお付き合いさせてください。

メドアグリケアからのメッセージ