看取りに大切なターミナルケア!患者さんだけでなく家族のケアも行い最期を迎えましょう

ターミナルケアという言葉を聞いたことはありますか?終末期医療を意味する言葉で、患者さんの残された時間を充実させるために行う医療です。ターミナルケアと聞くと、どうしてもマイナスな印象を受ける方がいますが、患者さんやそのご家族からすれば今までの辛い治療から解放され、穏やかな毎日を送ることができ良いこともあります。そこで、今回はターミナルケアの活用方法だけでなく、ターミナルケアが患者さんやその家族へどのような効果を出すのか紹介していきます。


■ターミナルケアの種類とポイント
ターミナルケアとは、病気や老衰などで余命いくばくもない人を対象にして、生活の質を向上させることを目的にしています。通常の治療や延命処置を行わず、病気による苦痛や不快感を取り除きながら自然に死を受け入れられるようにします。
ターミナルケアは、緩和医療と似たような言葉ですが緩和医療はがんに対して行われる疼痛管理です。その一方でターミナルケアはがんだけでなく、全ての疾患に対して行われます。さらに、緩和医療は痛みを取りつつも抗がん剤や放射線療法などで治療を進めていきます。ターミナルケアは治療や延命処置をしないのが特徴です。ここでは、ターミナルケアの種類やポイントについて紹介していきます。

●安楽死は認められていない
日本国では安楽死を認めていません。実際に安楽死と思われる事案が起きたこともありますが、諸外国に比べれば0に等しいくらい日本で安楽死は行われません。平成15年には厚生労働省が世論調査として、終末期医療に対する意識調査をしました。結果として、自分が痛みを伴う末期状態で「単なる延命治療」に対して反対した人は全体の約75%、その後の処置について「苦痛を和らげることに重点を置く」を選択した人は医療関係者で約80%、一般国民でも約60%いたのです。つまり、安楽死までは求めていなくてもターミナルケアや緩和医療をすることを望んでいる国民は昔から多いというのがわかります。

●3種類のターミナルケア
患者さんの痛みや苦痛を和らげるターミナルケアは3種類に分けることができます。
▶︎身体的ターミナルケア
身体的ケアとは基本的に医療行為のことをいいます。患者さんの感じている苦痛や辛さを投薬で緩和します。食事ができなくなっている場合は経管栄養法で胃へ直接栄養を補給する方法もあります。他にも排泄処理や入浴補助・着替えなど「介護」分野のことも身体的ターミナルケアでは行いますが、これはケアマネージャーやヘルパーに依頼すると家族の負担を軽減させられるでしょう。
▶︎精神的ケア
精神的ケアは、患者さんの死に対する不安な気持ちや焦りなどに対応することです。どうしても家族や友人と過ごす中で、死に対して孤独感を抱きがちです。日常会話を通して、一人じゃなくみんなが付いているということを伝えましょう。また、患者さんが最期まで過ごしやすい環境を作るのも精神的ケアに分類されます。医療従事者だけでなく、家族や友人の役割が大きくなるのが特徴です。
▶︎社会的ケア
社会的ケアとは、療養中の経済的負担などのことをいいます。これらはソーシャルワーカーへ医療費負担軽減について相談できるため必要に応じてしましょう。また、今まで仕事の第一線で活躍していた人や家族の大黒柱だった人は、介護されることに「申し訳ない」という感情を抱くことがあります。患者さんがマイナス思考にならないようにコミュニケーションをしっかりとりましょう。

●ターミナルケアのポイント
ターミナルケアはいつから開始しても遅いことはありません。しかし、ターミナルケアは治療や延命処置をしません。疾患の治療にまだ少しでも治療の希望を持っている場合は、ターミナルケアをせずに患者さんの意思が固まるまで待つようにしましょう。ターミナルケアは医療と同じで、家族の意見よりも患者さんの意見の方が尊重されます。

■ターミナルケアの人に対する役割
ターミナルケアは医師や看護師など医療職だけで行われるわけではありません。心理カウンセラーやケアマネージャー・ソーシャルワーカーなど多職種で連携しながら患者さんと家族のケアを行っていくのです。ターミナルケアでは患者さんはもちろん、家族のケアもしながら最期を迎えられるようにします。そこでここではターミナルケアが患者さんと家族にどのような役割を果たしているのか紹介します。

●患者さんに対する役割
患者さんに対しては、医師や看護師が大きな役割を果たしています。投薬などで疼痛を緩和して生活の質向上へ役立っています。さらに、死に対する不安感に対して心理カウンセラーが相談に乗ることで解消してくれます。

●家族に対する役割
家族は看取る以外にも負担がかかります。医療費の負担などで家族が困らないようにソーシャルワーカーへ相談すると医療費軽減のアドバイスを受けられます。さらに、家族と死別するという現実を受け入れられずうつ状態になる家族も珍しくありません。そんな人も心理カウンセラーの相談を受けられます。

■看取る場所ごとのターミナルケア
看取る場所は自宅だけではありません。介護施設や病院など看取る場所は人それぞれです。そこでここでは、様々な場所で看取る際のターミナルケアの違いについて紹介していきます。

●自宅での看取り
自宅でターミナルケアを行い看取ると患者さんの精神的な負担が少ないのが特徴です。やはり、住み慣れた自宅で最期まで療養できるのは精神衛生上すごく良く、残された時間を家族と一緒に過ごせることは最大のメリットといえるでしょう。また、自宅で療養していれば病院に入院しているときよりも経済的負担を少なくできます。
その一方で、自宅でターミナルケアをすると家族の負担が大きくなります。日々の食事だけでなく排泄処理や身体の清拭など介護もしなければいけません。中には看取るために仕事をやめたり、近くに引っ越したりすることもあるようです。さらに、往診している医療機関次第ですが、自宅でターミナルケアをしていると容態が急変したときにすぐ診てもらえないこともあります。

●介護施設での看取り
介護施設でターミナルケアをすると、家族が患者さんに寄り添うことに集中できるのがメリットとして挙げられます。介護施設は介護職の人が多く働いていて、面倒を見てくれるため褥瘡(床ずれ)や日常生活を手伝ってくれます。介護は家族が参画するとどうしても大変になってしまいますがプロに任せることで長期間であっても患者さんのそばに寄り添えるのではないでしょうか。
しかし、介護施設は入居している間に費用がかかります。家族の経済的負担が大きくなることを理解しておきましょう。他にも入居している施設によって面会時間が決められていることがあり、家族を一人にして寂しい思いをさせてしまうかもしれません。

●病院での看取り
病院でターミナルケアをするのが一番楽だと考える方がいますが、病院でのターミナルケアには注意が必要です。実は病院でターミナルケアができるのはがん患者とエイズ患者だけだからです。これは保険診療の取り決めでそう決まっているため、各病院によって異なるというわけではありません。病院で最期まで診てもらうには治療を受け続ける必要があるのです。最近の医療は病院で長期間入院する時代から在宅医療の時代へとシフトチェンジが起きています。つまり入院してもすぐに退院させられるリスクがでているのです。
しかし、病院でターミナルケアを受けることは近くに医療従事者がいることの安心感を感じることができるため、家族の人も安心して任せることができます。ただし、病院も面接時間が決められているため会える時間に制限がかかることには変わりません。

■まとめ
今は苦しい治療を続けながら最期を迎えるような医療が少なくなっています。治療をしても効果が出てこない・辛い治療から解放されて残された時間を有意義に過ごしたいと患者さんが思ったときからターミナルケアに移り穏やかな最期を迎えることが重要であると考えています。
近年は、入院しながら治療することが難しくなってきています。
そこで私たちは、住み慣れたお住いに、24時間365日いつでも、どこでも、誰にでも医療をお届けするサービスを提供しております。もちろん緊急事態にも24時間体制で医師と看護師が対応いたします。好きな地元でゆっくり落ち着いて、お一人お一人その人らしく療養できるよう、患者様やご家族様に寄り添った医療を提供いたします。地域を愛し地域に根付き地域に愛される強い信念でお手伝いさせていただきますので、最期までお付き合いさせてください。

メドアグリケアからのメッセージ