訪問看護で受けられる治療の種類は?注射や点滴、事業所や指示書について解説

訪問看護は患者さんの健康状態の観察や療養に関するアドバイスだけだと思われがちですが、医師の指示のもと点滴や注射など医療行為を行うことも可能です。そこで、今回は訪問看護を利用することでどのような治療を受けられるか、訪問看護を利用する上で出てくる様々な種類の用語がどのような意味なのか紹介していこうと思います。

◼ 訪問看護で受けられる治療内容の種類

訪問看護を利用している中で、みなさんが気になるのはどのようなサービスを受けられるかだと思います。訪問看護では色々な種類のサービスを受けることができ、利用者さんの生活をサポートしています。実際に、どのようなサービスを受けることができるのか紹介していきます。

  • 健康状態の観察・評価

原則として、訪問看護を利用するためには主治医から訪問看護指示書というのが発行され、患者さんにどのような看護を提供するのか決められています。また、その時々の症状や状態によって、医師の指示のもとの範囲で追加で処置を行うことがあります。

利用者さんやそのご家族だけで判断しにくいような健康状態でも、看護師によって緊急性を有するか否かの判断が行えます。健康状態の観察や評価は在宅医療を受けているからこそ重要になってくると考えられます。

  • 病状悪化の防止

例えば、猛暑で脱水症状などが出現したとき、ご家族の方だけで対応できない状況でも訪問看護師がいれば対応できることが多いです。脱水状態で治療が必要と判断した場合、訪問診療医の往診を依頼し医師の指示で症状を改善するための補水液を点滴して、病状が今以上に悪化するのを防げるのです。看護師という国家資格を保有している医療のプロにより、適切な処置や検査が可能です。

  • 療養についての相談やアドバイス

長期入院をしていた方や、最期を自宅で迎えたいと考えている方などで訪問看護で何をしたら良いかわからないという方に向けて、療養や介護に関するアドバイスや相談を受け付けております。例えば、介護用ベッドに関する説明や療養をする上でどのような治療を受けられるのかなどです。身近に医療職がいなくても、利用者さんやそのご家族にとって身近な医療者としてサポートさせていただきます。もちろん、訪問看護を利用する上で希望などがあればそれも反映させていただきます。

  • リハビリテーション

意外に思われるかもしれませんが、訪問看護ではリハビリテーションを受けることもできます。健康保険や介護保険のどちらかが適用されるかは患者さんの年齢や疾患によって異なります。大まかな目安としては65歳以上であれば介護保険が適用されることが多いです。また、筋萎縮性硬化症やパーキンソン病など厚生労働省の定めている難病疾患に罹患している場合は、医療保険が適用となることが多いです。

訪問看護で行うリハビリテーションでは、看護師以外の医療職も担当することがあります。理学療法士や作業療法士・言語聴覚士が必要に応じて担当することで、包括的に利用者さんをサポートするのです。ここで余談になりますが、各医療職について軽く紹介しておきます。

▶︎理学療法士

理学療法士は、身体の基本的動作能力の回復を目的とし、立つ・座る・歩くなど日常生活に関係した動きのリハビリを行います。

▶︎作業療法士

作業療法士は、仕事や趣味など作業面の回復を目的とし、手先を動かすなど複合的な運動を行い日常生活をスムーズ送るためのリハビリを行います。

▶︎言語聴覚士

言語聴覚士は、構音障害や失語症など言語障害や、失語症などにアプローチした機能回復を行います。さらに、上手に飲み込めない嚥下障害についても訓練やアドバイスを行います。

  • 点滴や注射

訪問看護でも、点滴や注射などの医療行為はできます。点滴や注射はレベル1〜3まで段階分けされていて看護師のレベルや医師の指示の有無によって治療の種類が異なります。

▶︎レベル1

患者さんのリスクを回避するために応急処置として看護師の判断で行います。緊急時の血管確保や点滴中の患者さんに異常が出たときの中止、注射針の抜去は看護師が判断し行えます。

▶︎レベル2

医師の指示に基づき看護師が実施できる医療行為です。脱水時の点滴や抗生物質の静脈注射、中心静脈カテーテルからの注射薬剤の混注、輸液ボトルの交換、輸液ラインの管理などがあります。

▶︎レベル3

医師の指示に基づき一定以上の臨床経験のある看護師が行なえる医療行為です。抗がん剤や細胞毒性の強い薬物の静脈内注射、麻薬の静脈注射、ヒューバー針のポートへの穿刺と抜去などがこれにあたります。

◼ 訪問看護で使われる用語を解説

ここからは実際に訪問看護の現場で出てくる用語について解説していこうと思います。様々な種類があり混合されたりすることがありますが、実際に言葉の意味を理解しておくことは訪問看護を利用する側としても大切なことです。

  • 訪問看護指示書

訪問看護指示書とは、訪問看護を利用するにあたり主治医から交付してもらう書類です。訪問看護ステーションの看護師から主治医に対して、指示書の交付を要請します。その要請に応じて主治医は訪問看護指示書を発行し、それを元に訪問看護サービスが提供されるのです。指示書が作成されてから6ヶ月間有効です。

訪問看護指示書は、一般的な訪問看護指示書の他に特別訪問看護指示書と在宅患者訪問点滴注射指示書があります。

▶︎特別訪問看護指示書

特別訪問看護指示書とは、訪問看護指示書が交付されている利用者さんの急性増悪などが原因で訪問のペースを週4日以上と頻回にする必要がある場合に交付されます。特別訪問看護指示書だけが交付されることはありません。基本的に月1回、交付されてから最長14日間有効です。特別訪問看護指示書は、医療保険のみ適応されます。

▶︎在宅患者訪問点滴注射指示書

在宅患者訪問点滴注射指示書とは、週3日以上点滴や注射などの医療行為が必要と判断された場合に交付されます。指示書の有効期限は指示日から7日までとされています。特別患者訪問点滴注射指示書は医療保険だけでなく介護保険も適応されます。

  • 訪問看護と訪問看護ステーションの違い

保険制度上の事業には、訪問看護と訪問看護ステーションの2つがあります。訪問看護とは、病院や診療所・クリニックなど医療機関が医療保険の適応範囲でサービス提供をおこなう事業名称です。その一方で、訪問看護ステーションとは訪問看護師自身が運営するサービス機関です。

こちら2種類の訪問看護事業所は、それぞれ点数から事業所の形態まで異なるのです。

▶︎点数の違い

訪問看護事業所と訪問看護ステーションでは、介護保険として請求できる点数が異なります。例えば、訪問看護であれば20分未満の訪問で262点なのに対して訪問看護ステーションであれば20分未満の訪問で310点です。

▶︎事業内容の違い

訪問看護事業所も訪問看護ステーションも同じように看護師による看護サービスを提供していますが、事業内容は若干異なります。訪問看護事業の一つとしてのリハビリテーションサービスは訪問看護ステーションでなければ提供できません。

▶︎人員の違い

訪問看護事業所と訪問看護ステーションでは人員配置が異なります。人員とは配置している看護師の人数です。訪問看護事業所の場合は、適当数とされ訪問看護計画を作成する看護師が1人いれば診療補助の空き時間に訪問看護サービスを提供できます。しかし、訪問看護ステーションの場合は利用者さん1人あたり2.5人以上の人員配置が定められています。ここでいう人員は看護師だけでなく保健師や准看護師も入ります。このように訪問看護事業の種類によって看護師の人員数が異なるのも大きな違いです。

  • 看護師にも2種類ある

訪問看護サービスでは、看護師が中心となりサービス提供をしています。ここで登場する看護師には2種類の資格があるのをご存知でしたか?

▶︎正看護師

正看護師とは、皆さんの頭に浮かぶ一般的な「看護師」です。短大や大学、専門学校を卒業した後に看護師国家試験を受験して看護師の国家資格を保有している人のことです。

▶︎准看護師

准看護師は、各都道府県知事の免許を得て、医師・正看護師の指示を受け、療養上の世話や診療上の補助などを行います。国に認められている正看護師と異なりますが、全国の病院や施設等で働くことは可能で正看護師と同じ看護師業務をしています。

◼ まとめ

訪問看護に関係する用語には様々な種類がありました。また、治療内容についても様々な治療に対応しています。訪問看護ではできないことがないと言っても過言ではないでしょう。ご自身やご家族の快適な療養のためにも、訪問看護サービスの検討をされてみてはいかがでしょうか?

利用される中で、ご不明な点や質問したいことがあれば相談員に何なりとご相談ください。

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