ヤングケアラーとは?問題や対策は?


ヤングケアラーという言葉をご存知でしょうか。あまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、近年普及が取り組まれています。
大人に代わり、子供が介護や家事をするのが当たり前な時代だったかもしれませんが、それは子供の大切な時間を奪っているのです。
今回はヤングケアラーの現状や問題、解決策などについて紹介します。

ヤングケアラーとは?

介護する子供

法律上で定義はありませんが、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている、18歳未満の子供とされています。

【ヤングケアラーの例】

・大人に代わって、子供が家事や介護を行うこと
・精神疾患やアルコール・薬物・ギャンブル問題を抱える家族のケア
・障害や病気のある家族に代わり、掃除や料理などの家事を行う
・障害や病気のある家族の、食事や排泄、入浴の介助などを行う
・家族に代わり、幼い兄弟の世話をしている
・家族の代わりに働く
・日本語を話せない家族に代わり、通訳をしている

周りにこのような方はいないでしょうか。「自分が小さい頃はそれが当たり前だった」「何が問題なの?」と感じる方もいるかもしれませんが、ヤングケアラーは子供の頃にしか過ごせない時間を失っているのです。
以前からヤングケアラーの存在は知られていましたが、大きく取り上げられることはありませんでした。しかし平成28年に児童を守るための法律が改正されたことで、ヤングケアラーが注目されるようになり、日本ではこの数年、ヤングケアラーの普及や解決策について取り組まれています。
厚生労働省でも普及を進めており、オンライン動画でのシンポジウムなども行われています。

ヤングケアラーの現状

家事をする子供

厚生労働省の調査によると、中高生の約20人に1人がヤングケアラーであり、ケアに費やす時間は平均1日約4時間ですが、中には1日約7時間という結果も出ています。ヤングケアラーの半数以上が、毎日何かしらのケアをしています。
ケアをしている家族として、1番多いのがきょうだい、その次が父母・祖父母です。
学校から帰ってきて、親が帰ってくるまでの間、もしくは親が帰ってきた後も、きょうだいや祖父母の世話をしているということです。
共働き世帯の増加などライフスタイルの変化により、自宅に残される子供も増加しています。また高齢化により、祖父母の介護をしなければならないケースもあります。
本人・家族も「ケアをすることが当たり前」と問題意識を持っていないことや、本人が悩んでいても相談できる場がないことが問題となっています。

「宿題や勉強に費やす時間がない」「部活やクラブ活動ができない」「友達と遊べない」「睡眠不足が続いている」などの影響が出ています。

なぜ問題になっているのか?

悩む子供

ヤングケアラーはなぜ問題になっているのでしょうか。大きく3つの問題が挙げられます。

①友人関係が希薄になり孤立してしまう
家事や介護に時間が取られ、友人関係がうまく築けないことがあります。本来であれば、放課後は友人と遊んだり、部活に専念したりする時間がありますが、そういった時間を確保することができません。友人との交流ができず、自然と一人でいる時間が増えてしまい、友人関係が希薄になってしまいます。周りに頼ることができず、一人で抱え込んでしまうことも多くなってしまいます。

②進学や就職を断念してしまう
勉強に費やす時間がなくなったり、ケアの疲労から寝不足になり、不登校を引き起こします。そのため学力や進学意欲の低下に繋がることがあります。また家庭内のケアを優先するために、進学・就職を諦めてしまうこともあります。
就活の際も、サークル活動やアルバイトができなかったことで、自分がやってきたことをアピールできず、自信を失ってしまう人も。

③自分がヤングケアラーだという認識がない
一番多いパターンが、自身がヤングケアラーという認識がないことです。また本人だけでなく、周りも認識がなく、支援が必要な状況だと感じていないことがあります。
「昔は自分もやっていた」など、子供が家事や介護をするのが当たり前という認識になっている大人も多いのが現状です。

解決策は?

家族に相談する子供

ヤングケアラーは世間的にはまだ認知度が低く、ヤングケアラーが問題だという認識がないことが多いです。まずは周りの大人がヤングケアラーを理解する必要があります。子供がケアを担うことは普通ではなく、子供の大切な時間を奪っていることを理解しましょう。そして大人が子供の思いを聴き、支援に繋げることが第一歩です。
相談先としては、児童相談所や各自治体で電話相談窓口が開設されています。ネットが使える子供であれば、自分で探すこともできるかもしれませんが、「相談先がわからない」「相談しても良いのかわからない」という子も多いです。いつでも相談できる場があることを、伝えてあげるのが大切です。
相談の際、家事や介護をする子供たちを否定しないようにしましょう。本人は自分の時間を犠牲にして、周りの期待に応えるためにケアを行っていることがあります。

ヤングケアラーを解決するには、家族の支援をどうするか考えていく必要があります。親が精神疾患などを抱えている場合は医療機関、祖父母が介護サービスを利用している場合は地域包括支援センターやケアマネジャーなどとも相談しましょう。


ヤングケアラーは、子供だけで解決できる問題ではありません。まずは周りの大人が存在を知り、支援が必要だということを理解しましょう。
子供が一人で抱え込まない環境作りが大切です。周りの大人との信頼関係を築ければ、些細なことでも相談できる場があるということを伝えてあげるだけでも、子供にとっては心強いです。

メドアグリケアでは、本人やご家族に寄り添った支援をしています。もしもご家族のケアで悩んでいることがあれば、一度ご相談ください。