要介護認定を受けるには?介護保険の申請から利用までを解説


高齢になると必要になってくるのが介護保険です。聞いたことはあるけど、実際にどのように利用すれば良いかわからないという方も多いのではないでしょうか。
介護サービスを利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。
今回は介護保険の申請から、介護サービス利用までの流れについて解説します。介護サービスの利用を検討していた方はぜひ参考にしてください。

1.要介護認定とは?

車椅子に乗る患者


介護保険は、介護サービスを1〜3割負担で利用することができる制度です。そのためには、要介護(要支援)認定を受けることから始めます。
要介護認定は、日常生活でどのくらい介護が必要な状態かを区分で表したものです。身体機能や認知機能に応じて、自治体によって判定されます。
【要支援1・2、要介護1〜5】の7段階に分かれており、区分が下りることによって、介護サービスの利用が可能です。また区分によって、利用できるサービスの上限やサービスの単価が異なります。

要介護認定は費用はかかりません。実際に介護サービスを利用した場合、費用が発生します。
要介護認定を受けたら、絶対に介護サービスを利用しないといけないというわけではありません。そのままにしておいても問題はありません。
しかし要介護認定は期限が決まっているため、いざ介護サービスを利用したいとなった場合、期限が切れてしまっていたというパターンも多いです。

平成30年介護保険事業状況報告の概要によると、現在日本では639.6万人が要介護(要支援)認定を受けています。高齢者の増加に伴い、認定者も年々増加しています。
要介護認定を受けるタイミングとして、「認知症の診断を受けた」「病気を機に動けなくなってしまった」などをきっかけに申請を検討する方が多いです。

2.要支援と要介護の違いは?

車椅子に乗る患者


7段階の区分は、要支援・要介護に分かれています。それぞれどのような状態を指すのでしょうか。

要支援1:日常生活動作(食事・排泄・入浴など)は一人で行えるが、手段的日常生活動作(買い物・金銭管理・内服薬管理など)のどれかが、一部見守り・介助が必要な状態。
要支援2:要支援1より歩行状態が不安定で、手段的日常生活動作に介助が必要な状態。
要介護1:立ち上がりや歩行が少し不安定で支えが必要。日常生活動作に部分的な介助が必要な状態。
要介護2:立ち上がりや歩行に支えが必要。日常生活動作に一部または全介助が必要。また認知機能の低下も見られ、生活に支障を及ぼしてくる。
要介護3:立ち上がりや歩行が困難になり、歩行補助具や車椅子などが必要。日常生活動作に介助が必要な状態。
要介護4:立ち上がりや歩行が困難になり、車椅子が必要。日常生活動作に全面的な介助が必要な状態。理解力や認識力の低下が見られ始め、意思疎通が取りづらくなっている状態。
要介護5:寝たきりで意思疎通が困難。日常生活動作全般で全面的に介助が必要な状態。

ある程度身の回りのことは自立していて、現時点で介助は必要ではない状態・一部介助が必要な状態であれば、要支援と言えます。食事や排泄・入浴などの日常生活で介助が必要になったり、理解力や認識力の低下が見られると、要介護の可能性が高いです。
また全てが自立していると、「非該当」になることがあり、介護サービスの利用ができません。

3.要介護認定を受けるには?

疑問


介護保険の加入者は第一号被保険者(65歳以上)と第二号被保険者(40歳以上65歳未満)に分かれています。つまり40歳になると、介護保険料を支払う義務が発生します。
要介護認定を受けられるのは、65歳以上である第一号被保険者です。しかし特定疾病のある40歳以上64歳以下の第二号被保険者も要介護認定を受けることができます。

【特定疾病とは】
・末期がん
・関節リウマチ
・筋萎縮性側索硬化症
・後縦靱帯骨化症
・骨折を伴う骨粗鬆症
・初老期における認知症
・進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
・脊髄小脳変性症
・脊柱管狭窄症
・早老症
・多系統萎縮症
・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
・脳血管疾患
・閉塞性動脈硬化症
・慢性閉塞性肺疾患
・変形性関節症(両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う)

第二号被保険者の場合、上記いずれかの疾病がある方が対象です。

4.認定を受けるまでの流れ

リハビリする患者


要介護認定は以下の流れで認定が下ります。基本的に申請をすれば、認定まで自動的に進んで行きます。

①介護保険の申請
お住まいの市町村の役所で申請します。ご本人だけでなく、ご家族でも申請可能です。
また市町村によっては、郵送で申請可能なところもあるため、役所に事前に確認しておくことをおすすめします。
申請の際は介護保険証を持参しましょう。万が一紛失していても申請可能です。
40〜64歳の第二号被保険者の方は、医療保険証の提示が必要です。

②認定調査
市町村の調査員等が直接自宅に訪問し、調査を行います。調査内容は身体・認知機能の確認、生活・家族状況の確認などがメインです。
調査日程は事前に担当者から連絡が入ります。ご家族も同席可能です。申請時に認定調査の連絡先を記載する欄があり、そちらへご家族の連絡先を記載することもできます。
もしも入院中や施設へ入所中であれば、その場所まで調査員が訪問してくれます。

③主治医意見書
自治体から主治医へ意見書の依頼を行います。病状や身体機能等を記載してもらいます。
主治医意見書は料金の負担はありません。

④一次判定・二次判定
②・③の一部の内容をコンピューターに入力すると、要介護度が判定されます。これを一次判定と言います。
一次判定の結果と主治医意見書を元に、介護認定審査会により認定が行われます。これを二次判定と言います。

⑤認定
審査会の結果を元に、市町村が介護保険の結果通知を行います。結果はご自宅に郵送され、新しい介護保険証が手元に届きます。申請から認定まで、約1ヶ月程かかります。
介護保険の負担割合が記載されている「介護保険負担割合証」は一緒に届く場合もあれば、後日届く場合もあります。

5.サービスを利用したい時はケアマネへ

ケアマネ


では実際に要介護認定が下りた後は、どのように介護サービスを利用すれば良いのでしょうか。
介護サービスを利用する場合、まずはケアマネジャーに相談が必要です。そしてケアマネジャーが、ケアプランを作成し、介護サービスを利用します。
要支援1〜2は地域包括支援センター、要介護1〜5は居宅介護支援事業所へ相談しましょう。地域包括支援センターはお住まいの住所ごとに管轄が決められています。わからない場合は、役所へ確認してみましょう。


高齢者の生活によって、介護保険はなくてはならない制度であり、今後も需要が高まるでしょう。
介護度によって、単価や利用できるサービスの上限が異なるため、まずはケアマネジャーへの相談をおすすめします。
メドアグリケアグループでは、相談員も配置しており、在宅生活をする患者様やご家族の相談体制も整えています。
「病院に通院するのが大変」「これからどんな風に生活していけばいいかわからない」など些細なことでも構いません。お気軽にお問い合わせください。