高齢者のかかる疾患ランキング上位を紹介!2021年病気と上手に付き合いましょう

高齢者になれば持病の1つや2つはあることと思います。日本人の死因で最も多いのは悪性新生物(がん)です。次に心疾患・脳血管疾患・肺炎・老衰・自殺と続きます。直接的な死因として挙げられる疾患もありますが、罹患しているという意味では他にも多くの病気が高齢者の方を襲っているのです。今回は高齢者の罹患している病名で多いものを紹介していこうと思います。

  • 有病者の確率は○%?驚きの高齢者有病率

内閣府の発行している平成28年版高齢社会白書をみると高齢者の健康について読み取ることができます。65歳以上の高齢者1000人のうち約500名が何かしらの自覚症状を訴えているのです。しかし、日常生活へ影響があると答えた人は約250名と大きく減少しています。

高齢者の健康問題で注目すべきは健康格差や健康寿命です。健康格差とは、国内において職業や学歴・所得などが健康状態に影響しており、その格差が広がっているという問題です。WHO(世界保健機構)も「個人の社会経済的状況と健康の関連は確固たる事実である」と表明しています。実際、高齢者において注目すると所得が低い人ほど死亡年齢が若く、要介護認定を受ける傾向にあるというデータが出ています。また、学歴による差も出ており教育年数が少なければ少ないほど、検診未受診者の割合が高くなっています。

健康格差の一番の原因はライフコース(人生の道筋:個人の一生を家族経歴、職業経歴、居住経歴など人が一生をかけて歩む道筋の総体)の違いです。健康とは個人の要因だけでなく、社会的な要因も関係していきます。幼少期に生活水準が低かった人はうつ病発症リスクも高くなり、自分で律した生活が取れないほど生活を維持するのが大変だったという事例もあるのです。仕事面でも健康格差はあり、現場仕事と呼ばれる肉体労働者の多くはデスクワーカーよりも脳卒中リスクが高くなっています。

健康寿命とは自分で自立して生活できるまでの年齢です。寝たきりや介護が必要な状態になると、生活する上で誰かのサポートが必要になります。そのような状態になる前が健康寿命と呼ばれているのです。今まで重視していた「寿命」とは亡くなるまでの期間を表していました。医療の技術進歩により、長生きする人が増え寿命は長くなってきていますが、健康で何歳まで生きられるのかという健康寿命を長くする動きへ変わってきているのです。また、健康寿命と平均寿命で出来るだけ差が出ないようにすることも大切です。100歳まで生きたとしても、健康寿命が70歳で30年間寝たきりだったら生活の質は決して高いと言えないからです。さらに、健康寿命を長くすることは医療費削減にも大きく寄与するのです。

  • 多い疾患を紹介

厚生労働省「患者調査」をみると病院など医療機関の受診率が分かります。高齢者は他の年代と比較しても受療率が高く、病院へ多くの人が通院していることが分かります。さらに、高齢者になると様々な病気を発症することから多くの薬剤を服用しているケースがあります。多い方は多数の種類もの薬を1日で服用しており、多剤服用が問題となっているのです。では、ここからは高齢者に多い疾患を紹介していこうと思います。

 

▲がん

悪性新生物(がん)は日本人の死因第一位となっています。2017年の資料ではおよそ99万人が1年間でがんと診断されました。その中でも多いのが大腸がんです。次に胃がん・肺がん・乳房がんと続きます。男性・女性でもがん別罹患率が異なります。男性は前立腺がん・胃がん・大腸がん・肺がん・肝臓がんの順番で多くなります。女性は乳房がん・大腸がん・肺がん・胃がん・子宮がんの順で多くなります。この中でも前立腺がんや乳房がんは比較的早期に発見できると5年生存率が高くなりますが、死亡率の高いがんも紹介します。2019年に死亡数が多い部位別がんは、肺がん・大腸がん・胃がん・膵臓がん・肝臓がんです。

■年齢や性別によるがん

がんと聞くと高齢者に多い疾患だと思っている方が多いです。実際、統計学的には60歳以降から徐々にがん患者が増えています。しかし、がんは部位別で好発年齢が異なるのです。例えば女性に多い乳がんは、40歳前後の女性に好発します。乳がん学会では、20歳を過ぎたら2年に1回(できれば毎年)検査を受けてほしいと声明を発表しています。現在はマンモグラフィー検査や超音波検査による検出率が高くなってきました。もし、乳がんができても乳房を保存する治療や早期発見による寛解が見込めるケースが多いです。また、子供の頃は小児がんとして血液がん(白血病や悪性リンパ腫)の発生数が多くなります。働き盛りの男性では膵臓がんの発生リスクが高くなっています。

 

▲脳卒中

脳卒中は年間111万人が発症し、そのうち約6万人が亡くなっています(平成28年国民生活基礎調査の概要参照)。脳卒中とは脳血管系の疾患の総称です。約60%が脳梗塞で血管が詰まることで発症します。発症する原因となった血管によって脳梗塞の種類が異なり、脳梗塞が原因となり、要介護認定を受ける人は年々増加傾向です。脳梗塞が起きると呂律が回らない、手足の感覚がなくなる・めまいがするなどの症状が出ます。

高血圧や糖尿病の既往がある人は発症リスクが高いため注意しましょう。40歳〜発症数が多くなっているので働き盛りで自分の体に気を使っていない人は脳梗塞になりリハビリ生活が待っているかもしれません。日頃から血圧測定や体調の変化へ敏感になりましょう。

 

▲心筋梗塞

心筋梗塞は年間173万人が発症し、そのうち約20万人が亡くなっています。日本人の死因第二位に入っている疾患で、60歳代の男性で多く発症しています。心臓を動かしている心筋が壊死してしまう病気で、喫煙者の人に多く発症します。特徴は激しい胸痛で、胸が締め付けられるような痛みが20分以上続いたら心筋梗塞を疑いましょう。

▲高血圧

血圧とは、心臓がポンプの役割をして血液を体内へ送り込むときの圧力のことをいいます。この時の圧力が高い状態を高血圧と呼びます。高血圧は自覚症状がないため、問題視しない人が多いですが無言の病気と呼ばれるだけあり、万病の元となっています。今までの研究をみると高血圧の人は心臓疾患の発症率が高い・心筋梗塞の発症リスクが高いなどがわかっています。日本国内で約4300万人もいるとされる高血圧患者。およそ3人に1人が高血圧なのです。

 

▲肺炎

肺炎は日本国内の死因第4位ですが、世界でみると第一位の死因となっています。様々な要因によって発症し、アメリカでは毎年300万人もの人が肺炎を発症しているというデータもあります。肺炎の原因はウイルスや細菌・寄生虫などの微生物です。中でも有名なものとしてインフルエンザが原因となる肺炎と、新型コロナウイルスが原因となる肺炎があります。新型コロナウイルスの登場前までは、肺炎といえば免疫力の落ちている人や高齢者が発症するものというイメージが強かったですが、新型コロナウイルスによる肺炎で多くの重症者や死亡者を出しているのが日本の現状です。

喫煙者の人は肺炎とは少し形態の異なる「COPD」という病気を発症することがあります。COPDとは、慢性閉塞性肺疾患と呼ばれており、肺の可動性が悪くなり上手に換気ができなくなる状態を指します。COPDが進行すると肺機能の低下はもちろん、肺炎になったときの重症化率も高くなります。

 

  • 病気と上手に付き合うために

病気の予防は重要ですが、加齢とともに避けられない病気もあります。病気と上手に付き合うためには日々の健康を意識して、自分の身体の情報を知っておくことが重要です。血圧・体温・尿の回数・便の回数など自分の体の情報を知っておくことで、大きな病気を予防できます。ホームドクターを見つけて継続的に医師の指示を受けることも大切です。病気と上手に付き合って生活の質をあげましょう。

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