小児における感染症ガイドラインを紹介!この病気で出席停止は何日?

 

新型コロナウイルスという新しい感染症の流行で人々の健康意識は180度変わりました。手洗いうがいなんてしたことなかったような人も今では帰宅すると手洗いうがいをしています。飲食店だけでなくホームセンターやコンビニエンスストアーでも店頭には消毒液が設置されており、感染症に対する人々の意識の変革を垣間見ることができます。

医療現場のこともテレビなどで紹介される機会が増えてきましたが、治療内容についてまではまだみなさんの知っていることが少ないと思います。そこで今回は治療方針はどのように決められているのかなどを話しつつお子さんの感染症にどう向き合っていけば良いかというテーマで進めていきます。

  • 子供と感染症

新生児から就学児となり、大人になっていく過程で感染症とは必ず付き合っていかなければいけません。特に家庭から出て、保育園や幼稚園・小学校と他人の子供との共同生活となると感染症のリスクが高くなります。まずは学校などでどのような感染症が流行するのか、お子さんが罹患しやすい感染症にはどのようなものがあるのか紹介していきます。

▲インフルエンザ

インフルエンザとはインフルエンザウイルスが原因となり発症する感染症です。主に流行するのはA型インフルエンザウイルスかB型インフルエンザウイルスです。咳や喉の痛み・高熱が主な症状で、関節痛や肺炎を発症することもあります。一般的な風邪と異なり、症状が急激で38度以上の高熱が出ることがあり、お子さんの場合体力低下や栄養失調となり点滴をしながら症状改善を待つこともあります。インフルエンザには抗インフルエンザ薬としてタミフルが有名です。しかし、2007年にタミフルを服用した未成年者が異常行動をしたとの報告がされました。厚生労働省によると未成年者はタミフルを服用後、2階のベランダから飛び降りて右足を骨折する怪我を負ったようです。飛び降りたときの記憶はなく、同様の異常行動がタミフルを服用した他の患者からも報告された背景もあり、未成年者へのタミフル処方は見送られるようになりました。

だからといってインフルエンザが疑われるようなケースで放置してはいけません。小児の場合、インフルエンザが原因となる「インフルエンザ脳症」を発症することがあるのです。インフルエンザ脳症とは、年間およそ400人程度が罹患するウイルスがん原因となる急性の脳障害です。軽症なら痙攣や異常行動ですみますが、重症となると意識障害が起き眠り続けてしまうこともあるのです。

 

▲溶連菌

溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌が原因となり発症する感染症です。喉の痛みや扁桃炎などの原因となります。喉の痛みや発熱がある場合、検査をして溶連菌が原因と特定できれば抗生物質を処方して服用してもらいます。およそ5日〜10日分の抗生物質を服用すれば症状が消えます。溶連菌も放置してしまうとリウマチ熱などを合併症として併発することがあるため注意が必要です。

溶連菌は子供だけが罹患する病気ではありません。子供から親や兄弟へ飛沫感染することがあるのです。家族の中で溶連菌感染症が確認されたら他の家族へ移さないような工夫をしましょう。

 

▲麻疹

麻疹は感染力の強いウイルスです。1歳と就学時のタイミングで麻疹風疹混合ワクチンを接種すると予防できます。一度発症すると発熱とともに全身に発疹が出ます。

▲風疹

風疹は感染力の強いウイルスです。1歳のタイミングで麻疹風疹混合ワクチンを接種すると予防できます。妊婦さんが感染すると先天性心疾患や障害を持った赤ちゃんが生まれるリスクが高くなります。

 

▲おたふく風邪

耳の後ろにある耳下腺という唾液腺が炎症を起こす病気です。予防接種で予防できます。

 

▲水疱瘡

水疱瘡は発疹が出て、強い痒みや水泡を形成するのが特徴です。予防接種で予防できます。

  • 学校保健と出席停止

日本国内の教育機関では、感染症に罹患した際、一定の期間まで出席停止とする学校保健法という法律があります。この法律は感染症の拡大を防ぐ意味で、学校へ無理してでもこないような配慮がされているのです。

▲出席停止一覧

感染症罹患後から治癒するまで出席停止となるのは以下の疾患です。

エボラ出血熱  

 

 

 

治癒するまで

 

ペスト
コレラ
ジフテリア
SARS
COVID-19
ラッサ熱
細菌性赤痢

 

感染症罹患後から一定期間空けるのは以下の疾患

インフルエンザ 小中学校・大学:発症後5日かつ解熱後2日

幼稚園:発症後5日かつ解熱後3日

百日咳 特有の咳が消える、または5日間の抗生物質服用
麻疹 解熱後3日
おたふく風邪 唾液線の腫脹が消失してから5日
風疹 発疹が消えるまで
水痘 発疹がなくなるまで
咽頭結膜熱 腫瘍症状が消退してから2日
結核 感染力がないと医師が認めるまで

  • 小児感染症ガイドラインはどうなっている?

では、小児における感染症に関するガイドラインはどうなっているのでしょうか。小児に対して抗生物質を処方するのかしないのかのガイドラインについて「抗微生物薬適正使用の手引き第二版」を参照すると以下のことが明記されてます。

 

感冒や急性鼻副鼻腔炎に対して抗菌薬は必要ないことが指摘されている。ウイルス感染症の経過中の細菌感染症の合併を予防するために抗菌薬を投与することについては、軽症の感冒・鼻副鼻腔炎・咽頭炎・気管支炎患者に対して、抗菌薬投与の有無による症状の改善の有無を比較した複数の無作為化比較試験では差は認められていない。 0歳から 12 歳の小児を対象とした 12 個の無作為化比較試験をまとめた系統的レビューにおいても、上気道炎に対する抗菌薬投与は症状緩和や合併症減少に寄与しなかったと報告されている。なお、乳突洞炎、扁桃周囲膿瘍、肺炎患者を対象とした後方視的検討では、理論上は1名の重篤な細菌感染症を予防するためには 2,500 人以上の非特異的な上気道感染症患者に抗菌薬を投与する必要があると試算される。 このようなことから、予防目的での抗菌薬は原則として投与しないことを推奨する。

<抗菌薬投与が不適切と考えられる基準>

以下をすべて満たす患者にはその時点で抗菌薬は必要ない

・鼻汁
・鼻閉±発熱±軽い咳
・呼吸障害がない
・全身状態がよい
・熱の持続期間が3日以内
・鼻汁の持続期間が10 日以内
・湿性咳嗽の持続期間が10 日(2週間)以内

<抗菌薬投与を考慮すべき状態> 以下のいずれかに当てはまる場合、遷延性又は重症と判定する。
1. 10日間以上続く鼻汁・後鼻漏や日中の咳を認めるもの。
2. 39°C以上の発熱と膿性鼻汁が少なくとも 3日以上続き重症感のあるもの。
3. 感冒に引き続き、1週間後に再度の発熱や日中の鼻汁・咳の増悪が見られるもの。

日本鼻科学会の指針では、化膿性副鼻腔炎に対する処方例として、アモキシシリ ン水和物 40mg/kg/日(分3)7~10 日間と示されている。

4.その他の抗菌薬が適応となるような合併症(化膿性中耳炎、細菌性肺炎、尿路感 染症、菌血症など)を認める。原則、アモキシシリン水和物が第一選択になることが多いが、非定型肺炎ではマクロライド系を必要があれば考慮する。

 

風邪と呼ばれる状態で抗生物質を処方するとリスクの方が高いため、子供の免疫力に頼らざるを得ないという感じです。逆を言えば、上記「抗菌薬投与が不適切と考えられる基準」の範囲内であれば夜間に救急病院を受診する必要がないともいえるのではないでしょうか。

  • 子供のことが心配になっても医療の逼迫には繋げない

インターネットの普及に伴い、このようなガイドラインと呼ばれる治療指標は誰でも閲覧できるように公開されています。お子さんの病気や体のことで心配事があればこのようなガイドラインを読んでみると良いでしょう。また、医師の診断や治療方針に疑問があればガイドラインと異なるのか検証することも効果的です。

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