高齢者施設における感染症対策マニュアルでCOVID-19対策!

高齢者は若い世代と異なり、疾患に罹患した際の致死率が高くなります。介護や医療の現場ではそういった高齢者の特徴を把握しながら感染症予防をしているのです。しかし、2020年3月ごろからパンデミック(世界的流行)を起こした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は例外でした。発熱や咳など一見すると風邪のような症状が特徴で、その後味覚障害や嗅覚障害などCOVID-19の特異的な症状が見られます。そんなCOVID-19をはじめとする感染症について紹介していくとともに、高齢者が感染した事例について紹介していこうと思います。

  • 高齢者と病気と感染症

冒頭で高齢者は若い人と違い疾患に罹患した際の致死率が高くなる傾向があると紹介しました。ここで例を出しましょう。20歳・40歳・80歳の3人が同じ病気になったとします。今回は胃がんとしましょう。余談ですが「がん」は日本国内の死因第一位です。今や2人に1人ががんになる時代となっていますので、がん検診をはじめとする健康診断を定期的に受診しましょう。話が少しずれてしまいましたが、がんについてです。

同じ病気になっても年齢によって治療方針が異なります。若い世代であれば身体の侵襲が大きい手術や抗がん剤治療を受けることができますが、高齢になれば手術・抗がん剤治療ともに慎重に検討しなければいけません。若い世代は外科的にも内科的にもがんに対する治療ができます。高齢者の方はどうでしょうか。手術ができなければがんを取り除けませんし、抗がん剤治療ができなければ目に見えないがん細胞を取り残すことになります。そうなれば後々がん細胞が大きくなることもあり得ますよね。がん一つとっても致死率が上がるというのが理解できるでしょうか。

▲高齢者の感染症

高齢者と感染症を語る上でどうしても外せないのが高齢者の身体的な特徴です。若い世代と異なり、高齢者は身体に変化が見られます。一言でいってしまえば「老化」になりますが高齢者が若い世代とどう違ってくるのか紹介していきます。

■免疫力の低下

人間の免疫は体内で生成される血液細胞によって担われています。具体的にはT細胞やB細胞と呼ばれる細胞たちです。細菌やウイルス感染症の初期段階でT細胞・B細胞が活動できれば感染を最小限で抑えることができます。高齢者の方はそれぞれの細胞が少なくなるため体の免疫機能が低下してしまうのです。風邪をひきやすい・風邪を引いたら長引いてしまうなども免疫力が低下することが原因となります。

■臓器の機能低下

高齢になればなるほど臓器の機能が低下します。例えば筋力です。高齢になるとトレーニングをしていない限りは筋肉が落ちてしまいますね。筋肉だけでなく、臓器の昨日も低下していきます。臓器の中でも腎臓や肝臓・胸腺は免疫力に大きな役割を果たしています。腎臓や肝臓は薬を代謝するのに貴重な臓器です。薬を服用したときに薬効を100%受けられるのか10%しか受けられないのかで治療効果にも大きな差が出てきますよね。胸腺は前述でも取り上げた免疫に関係します。T細胞やB細胞は胸腺から分泌されるため、胸腺の機能が低下することは免疫力の低下へ直結します。

  • 感染症の歴史

感染症という言葉はいつから生まれたのでしょうか。感染症の歴史を見ていこうと思います。感染症の歴史と人類の戦いを理解して現在流行しているCOVID-19だけでなくこれからの感染症と戦い抜きましょう。

▲最古の感染症・天然痘

天然痘は紀元前から確認されていた感染症です。治癒後にも肌に瘢痕が残るため、江戸時代には「美目定めの病」と呼ばれていたこともありました。天然痘はエジプトのミイラからも瘢痕が発見されたほどで、日本では6世紀ごろ流行していました。天然痘の致死率は20%〜50%と高い傾向があり400万人以上の人が亡くなったというデータがあります。1980年にWHOが世界根絶宣言を出すまでおよそ2000年以上も人類を蝕んでいたのです。現在はアメリカとロシア内にある施設で天然痘ウイルスが厳重に管理されています。

▲ヨーロッパで大流行・ペスト

ペストは最近由来の感染症です。主にヨーロッパ地域で流行しており、感染者の皮膚で内出血が起きることが特徴でした。致死率が高いことが特徴で適切な治療が受けられないと60%〜90%で亡くなります。COVID-19の人獣共通感染で野生動物やペットから感染することもあれば、人―人感染をすることもあります。ペストは今まで何度がパンデミックを起こしていますが14世紀にパンデミックを起こしたときは全人口の22%にあたる約1億人がペストで亡くなったそうです。近年でもペストは流行しており2004年〜2015年の間でも約56000人が感染して、約4500人が死亡しています。

▲COVID-19と一緒に語られる・スペイン風邪

第一次世界大戦の時期に流行した疫病がスペイン風邪です。現代でいうインフルエンザの一種ですが、通常のインフルエンザよりも感染症が高く世界中で5億人ほどが感染したといわれています。そのうち2000万人〜5000万人の人が亡くなりCOVID-19の流行初期には「スペイン風邪の再来か?」といわれたものです。COVID-19と同じように治療薬がなく学校や企業が閉鎖されました。まさにCOVID-19に対する世界の対応と同じですね。

▲コロナウイルス属・SARS

中華人民共和国(以下:中国)が起源となった重症急性呼吸器症候群がSARSです。コロナウイルスというウイルスが原因となっており、COVID-19の亜種といっても過言ではありません。2002年11月に中国国内で初症例が報告され、2003年4月に新感染症となり、2003年7月にWHOより終息宣言が出されました。

  • 高齢者における感染症事例

高齢者が感染症に感染した事例を紹介していきます。事例を紹介していくと同時にどのような対処をすれば問題なかったのかも追記していこうと思います。

▲2004年 高齢者社会福祉施設内におけるノロウイルス感染事例

ノロウイルスは、牡蠣などが保有しているウイルスの一種で嘔吐や下痢が特徴です。継続的な嘔吐・下痢が原因で脱水症状になることも珍しくなく高齢者の場合は死亡する人もいます。2005年はそんなノロウイルスが集団発生した件数が多かった年です。2004年12月に大阪府大東市の高齢者社会福祉施設で入所者2名のウイルス性腸炎が発生しました。その後、感染は職員にも拡がり調理しまでも感染。最終的に職員を含め39名にも及んだそうです。

この施設は認知症患者さんの受け入れ施設でもあり、認知症患者さんのフロアは衛生管理が難しいこともあり感染拡大を防げなかったとしています。近隣の施設や自治体などで認知症患者さんの受け入れ等ができれば感染者数を少なくできたのかもしれません。

▲2020年 高齢者施設内における新型コロナウイルス感染症事例

2020年4月15日に千葉県松戸市内の介護老人保健施設内でCOVID-19の集団感染が発生しました。また、同年4月19日には千葉県佐倉市内にあるケアハウス内でCOVID-19の集団感染が報告されています。

COVID-19に関しては記事執筆日(2020年4月25日現在)で不明な点も多いですが、徹底した手洗い・うがいが予防策として有効と報告されています。この他にも発熱があるときや咳・呼吸困難の症状があるときには仕事へ行かず自宅療養をして感染拡大予防に努めることが重要です。高齢者施設の場合、人材不足などもあり仕事を気軽に休めないという方が多いですが利用者さんの命を守るためにも休む勇気を持つことが重要となります。少しでも体調が悪いと感じたときは休める体制と整えておきましょう。

  • 高齢者の感染症とその事例から学ぶこと

高齢者は免疫力が低下していることで感染症など病気を罹患すると重症化しやすくなります。COVID-19でも若い世代よりも高齢者の方が重症化しやすいというデータが出ています。これはCOVID-19が肺に特異的な症状を起こすことが原因だからです。高齢者は腎臓・肝臓・胸腺の他に呼吸器系の機能も低下します。呼吸器系が弱っているところへCOVID-19の感染も起きると呼吸苦などの症状が顕著になります。過去の集団感染事例などから学ぶこととして、COVID-19陽性者が周囲にいてもいなくても「いつでも感染するリスクがある」ということを念頭においた生活をしなければいけません。まだまだCOVID-19の影響は大きいですが、ステイホームを守って大切な人へ移さないような生活をしましょう。

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